施工管理は人間関係が大変だと言われがちですが、実際はどのようなものなのでしょうか。
本記事では、施工管理を取り巻く人間関係と、良好な人間関係を築くコツについて解説していきます。
「人間関係ではなるべく悩みたくない」とお考えの人はぜひ参考にしてください。
施工管理の仕事内容
施工管理の主な仕事内容は、建設現場の管理です。具体的には、工期、品質、原価、安全の管理(四大管理)を行います。
工期管理では、発注者によって決められた工期までに建設を完成できるように管理します。スケジュールの調整、人員の配置などを行って工事を進めることも仕事の一つです。
品質管理では、使用する材料や環境を整えたり、建物が基準通りの強度・密度になるように管理したりします。
原価管理では、人材費や材料費を鑑み、会社に利益が生まれるよう適切に管理します。
安全管理では、事故を防止するために危険箇所の共有、熱中症の注意喚起などを行います。定期的に現場を巡回し、作業員の安全を確保するのも大切な仕事です。
人間関係が原因で辞める人もいる?
施工管理は多くの人をまとめながら仕事を行うため、中には人間関係で辞める人もいます。
しかし、あらかじめどのような人間関係があるのかを把握し、適切に対処すれば大きな失敗につながることはありません。
以下では、施工管理が悩みがちな3つの人間関係について紹介します。
施工管理の人間関係は?
施工管理が悩みがちな人間関係は次の通りです。
- 上司
- 取引先
- 職人
それぞれの人間関係について見てみましょう。
1.上司
よくありがちなのは上司との人間関係です。
たとえば、任された建設現場のやり方を効果的にしようと上司に提案した際、その要望が通らないことがあります。
上司のやり方が必ずしも正しいわけではありませんが、そのやり方に背いたことがきっかけで人間関係が悪くなることもあるでしょう。
部下としても「信頼されてないのかな」とネガティブに考えてしまうため、モチベーション低下につながります。
上司に提案する際は、上司の立場を最大限に尊重しつつ、自身の考えを主張しましょう。
2.取引先
施工管理における取引先とは、建設工事を依頼してくれるお客さんです。
現場の進捗説明、工事の相談などを通して取引先とコミュニケーションを図ります。
場合によっては無茶な工期を提案する取引先もいますが、会社にとってはお客さんであるため無理だと突っぱねるわけにもいきません。
また、工期に遅れが生じたり、建設上のミスがあったりした際に叱責を受けることもあるでしょう。そうした際に人間関係のつらさを感じます。
3.職人
施工管理は職人との人間関係に悩むことも多いです。建設現場で毎日のように顔を合わせるからこそ、大切にしたい人間関係と言えるでしょう。
また、しっかりとした関係を築けていないと作業が滞ってしまうこともあるため、慎重かつ積極的なコミュニケーションが求められます。
たとえば、職人が建設現場の図面を見た際、疑問点があったとしましょう。この際、良好な人間関係を築けていなければ職人が施工管理者に相談することなく工事を進めてしまう可能性があるでしょう。あとになってミスが発覚すると修正工事が必要になるため、予算や工程の修正が求められます。
こういったミスを防ぐためにも、職人とは良好な人間関係を築く必要があると言えるでしょう。
【施行管理】職人と良好な人間関係を築くコツ7選
職人と良好な人間関係を築くコツは次の通りです。
- 職人をリスペクトする
- 誠意をもって働く
- お願い事をする際は注意する
- 日常的にコミュニケーションをとる
- 的確な指示を出す
- 提案を真っ向から否定しない
- 報連相を怠らない
1.職人をリスペクトする
職人をリスペクトすることは大切です。施工管理は職人に指示する立場であるため、リスペクトしていないと上から目線の対応をしてしまうことがあります。
上から目線の対応をしてしまうと職人に不快な思いをさせてしまい、関係性を壊してしまう可能性があるため注意が必要です。
2.誠意をもって働く
誠意をもって働くことで、職人に熱意が伝わるため認めてくれやすくなります。
職人に認めてもらえばお互いの意思疎通がしやすくなり、うまくコミュニケーションがとれるようになります。
また誠意をもっていれば職人だけでなく、お客さんや上司などにも認められやすくなるでしょう。
3.お願い事をする際は注意する
職人にお願い事をする際は注意しなければなりません。注意の仕方を間違ってしまうと口論になってしまう可能性があるためです。
職人にお願い事をする際は、端的に分かりやすく伝えましょう。また強い口調にならないようにすることも大切です。
特に繁忙期などで忙しい際は無意識に強くなってしまうため注意しておきましょう。
4.日常的にコミュニケーションを図る
日常的にコミュニケーションを図ることで、少しずつ良好な人間関係が築けるようになります。毎日のように会話する必要はありませんが、朝に顔を合わせた際などは笑顔であいさつをすることが大切です。
とくに職人は礼儀作法を重んじる人が多いため、目上の人だと思ってしっかりと大人のあいさつを心がけましょう。お願い事をする際に頭を下げることも忘れてはいけません。
5.的確な指示を出す
的確な指示を出すことで、職人に認めてもらいやすくなります。職人は自分の仕事が滞った際に大きなストレスを感じるため、的確な指示を出してそのストレスを軽減することが大切です。
的確な指示を出すためには、現場全体をよく見たうえで優先順位を明確にし、適切なタイミングを見計うことが重要になります。
また間違った指示を出してしまった場合はしっかりとお詫びし、今後同じミスをしないように心がけましょう。同じミスをしてしまった場合は、真摯な態度で謝罪することも大切です。
6.提案を真っ向から否定しない
職人から提案があった際は、たとえそれが間違っていたとしても真っ向から否定しないようにしましょう。
真っ向から否定してしまうと、円滑なコミュニケーションが取れなくなる可能性があるためです。
自分のなかで「ちょっとその提案は違うな」と思った場合でも、職人の意見を尊重し、一度その提案を肯定しましょう。肯定したあとに、自分の提案をするとよいです。またその際、職人からの意見も取り入れることで提案を受け入れてくれやすくなります。
したがって、職人に提案をする際は自分本位にならず、建設現場の状況や職人の意見を反映させることが大切だと言えるでしょう。
7.報連相を怠らない
報連相は何があっても怠らないようにしておきましょう。報連相を行うことは職人とのコミュニケーションにつながるうえに、現場での仕事を円滑に進めることにもつながります。
また、職人に現場の状況をしっかりと伝えておくことで、作業員の仕事もスムーズに進みやすくなります。作業員は職人の指示によって動く場合があるためです。
そのため、現場全体の状況や工事の進捗度合いなど、重要な情報は必ず職人に伝えておくことが大切です。報連相ができていれば「言った言っていない」の押し問答を避けることにもつながります。
まとめ
本記事では「施工管理の人間関係」「職人と良好な人間関係を築くコツ」などを紹介しました。
施工管理は業務の幅が広いうえに非常に多くの人と関わります。そのため、大変な仕事と思われがちですが、その分やりがいも多い魅力的な仕事です。
なかでも職人と良好な人間関係を築くことで現場の仕事を円滑にできた場合などは、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
百田 遼太郎