施工管理における工程管理は、納期の厳守やコスト削減を実現するうえで、非常に重要な仕事の一つです。
そこで本記事では「そもそも工程管理とは何なのか」という点から、工程管理の目的、具体的な仕事内容などを解説します。
工程管理についての理解を深めておきたい人はぜひ参考にしてください。
【施工管理】工程管理とは
工程管理とは、工期内に工事を完成させるために行うスケジュール管理です。
建設工事には、さまざまな工程があります。また、現場には多くの職人や作業員が携わるため、効率よく作業するための工程表を作成し、厳格にスケジュール管理を行わなければなりません。
ちなみに工程管理の他にも、原価管理、品質管理、安全管理があり、これら4つまとめて四大管理と呼ばれています。
四大管理は、施工管理が行うメインとなる業務で、非常に重要度の高いものです。
工程管理の重要性
工程管理は、工期を守るために行うものであることから、重要性は非常に高いと言えます。工期が遅れると、予算がかさんでしまうだけでなく、取引先からの信用を失うためです。
また、工程管理における業務の中で、工程表の作成はとくに重要になります。工程表に誤りがあれば工期が大幅に遅れてしまう可能性があるためです。
工程表は、工事の進行とズレが生じないように1週間、2週間、月間、全体と期限を区切りながら作成します。さらに施工管理者は、工程表通りに工事を進められるよう、現場の作業員に指示を出したり、監督をしたりもします。
工程管理の目的5選
工程管理を行う目的は次の通りです。
- 生産性の向上
- 品質の確保
- コスト削減
- 納期を守る
- 課題や問題の解決
1.生産性の向上
工程管理を行うことで、生産性の向上を図れます。日々工事の進捗を確認しつつ、工事を進めることで工程表とのズレを微調整できるためです。
スケジュール通りに工事を進めることができれば、作業員や職人が焦燥感を感じることもないため、高いパフォーマンスが発揮されやすくなります。
2.品質の確保
工程管理を行うことで品質の確保にもつながります。工事内容を明確にし、適切なスケジュール管理を行うことで工事の品質が向上するためです。
また、工事の品質を高水準で保つことができれば、生産性の向上や、安全な建設現場の構築にもつながります。
3.コスト削減
工程管理は、コスト削減にもつながります。工程表を作成し、その通りに進めることができれば無駄な工事費や人件費をかけずに済むためです。
たとえば、工期が延びると重機のリースを延長したり、作業員を追加したりする必要があるため、大幅な追加コストがかかります。場合によっては、施主に損害賠償の支払を求められるケースもあるでしょう。
そのため、工程管理を行い、スケジュール通りに工事を進めることは大きなコスト削減につながると言えるのです。
また、工程管理において、ムリ、ムラ、ムダは、コストの増大だけでなくトラブルや事故につながるとされています。工程管理を徹底することは、ムリ、ムラ、ムダの防止になるため、高品質で安全な建設現場の構築につながります。
4.納期を守る
工程管理の主な目的は、納期を守ることです。納期までの作業やスケジュールを示した工程表を作成し、その通りに進めることで納期を厳守できます。
しかし、建設現場にはトラブルや事故、悪天候などによる作業停止がつきものです。そのため、施工管理は日々、工程表とにらめっこをしながらスケジュールの微調整を行います。
また、工程表のスケジュール通りに進めるためには、作業員や職人の協力が欠かせません。そのため、施工管理者は、完成までのスケジュールを共有したり、職人とコミュニケーションをとったりすることでスムーズな工事を促す必要があります。
5.課題や問題の解決
日々の現場で生じる課題や問題を解決することも工程管理の業務です。
たとえば、悪天候で現場が止まった場合、施工管理には細かいスケジュール調整が求められます。
建設現場では、そういった問題や課題が日々発生するため、施工管理が毎日のように対応するケースも多いです。
工程管理の具体的な仕事
工程管理の具体的な仕事は次の通りです。
- 紙面での管理
- Excelや工程管理システムでの管理
紙面での管理
小規模な建設現場の場合は、紙面やホワイトボードを使用した工程表を作成し、工程管理を行います。アナログな方法ではありますが、作成後の簡単な修正や加筆を手軽に行えるというメリットがあり、費用も安価に済ますことが可能です。そのため、中小規模の建設事業者は、紙面での管理が多い傾向にあります。
ただし、紙面で管理する場合、記入漏れなどのヒューマンエラーが発生しやすく、作業員や外部の協力者に共有しづらいというデメリットがあります。また、長期的な保存に向いていないため、保存する場合はExcelに転記する必要があるでしょう。
Excelや工程管理システムでの管理
近年では、Excelや工程管理システムで工程表を作成する企業が多くなっています。
Excelの関数機能を活用すれば、手間のかかる計算を省くことができ、外部との共有も容易に行うことが可能です。
ただし、Excelも人が扱うため、どうしても誤字脱字や入力ミスといったヒューマンエラーは発生してしまいます。
工程管理システムなら、上記のようなヒューマンエラーを防いだり、工程表の修正を簡単に行えたりします。
【施行管理】安全管理の仕事に必要なスキルと資格
以下では、工程管理の仕事に必要なスキル資格を紹介します。
工程管理の仕事に必要なスキル
工程管理の仕事に必要なスキルは、コミュニケーションスキルとトラブル対応能力の2つです。
前述の通り、建設現場では悪天候や事故などのトラブルが付きものであるため、施工管理は日々スケジュール調整に追われます。しかし、実際に作業の遅れを取り戻すのは作業員と職人であるため、施工管理はリスケジュールした日程を伝え、協力を仰ぐ必要があります。その際、職人と十分な信頼関係を構築できていないと、スムーズに作業移行してもらうことが難しくなるため、施工管理には高いコミュニケーションスキルが必要になるのです。
また、トラブルが発生した際の対応力も重要になります。トラブル対応力は、現場で経験を積むことで自然と身に付きますが、大切なスキルであるため日常的に知識を吸収する姿勢が求められるでしょう。
工程管理の仕事に必要な資格
工程管理の仕事に携わるためには「施工管理技士」という国家資格が必要です。
施工管理技士の資格は工事の種類ごとに分かれており、全部で下記の7種類があります。
- 土木施工管理技士
- 建築施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
- 建設機械施工技士
- 電気工事施工管理技士
- 電気通信工事施工管理技士
また、それぞれの資格では1級と2級があり、それぞれ任せてもらえる仕事の幅が異なります。1級を取得することで、4,000万円以上、もしくは6,000万円以上の大規模工事に関わることが可能です。責任感が重くなり、業務の幅が広がる分、待遇が良くなるというメリットがあります。
一方の2級を取得することで500万円未満、もしくは1,5000万円未満の小規模な工事に関わることが可能です。
資格を取得していなくても施工管理として従事することは可能ですが、キャリアアップしていきたい人は取得を検討しておきましょう。
まとめ
本記事では「施工管理における工程管理の重要性と目的」「工程管理での主な仕事」などを紹介しました。
工程管理は、納期を守ったり、コスト削減したりするうえで必要不可欠な業務です。
工程管理に必要なスキルを身に着けたい場合、資格の勉強をすることも大切ですが、何より実務経験を積むことが優先されます。
未経験でも施工管理になることは可能なため「実績を積んで施工管理として早く稼げるようになりたい」という人は、その旨を転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。
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百田 遼太郎