昔からのイメージもあり、いまだ「施工管理はきつい」というイメージを持っている人は多くいます。
そこで本記事では、施工管理がきついと言われてきた理由と、現在の施工管理について紹介します。
後半ではきつさを解決する方法についても紹介しますので「施工管理に興味はあるけどきついのは嫌だ」という人はぜひ参考にしてください。
施工管理がきついと言われる理由
施工管理がきついと言われる理由は下記のような点にあります。
- 休みが少ない
- 給与と見合っていない
- 在宅勤務の仕事が少ない
- 人間関係が難しい
- 体力面がもたない
- 夜勤や出張が合わない
- 雑用に嫌気がさす
1.休みが少ない
ひと昔前の施工管理は休みが少ないことから「きつい」と言われることが多かったです。
しかし、今は国が推進する働き方改革により労働環境が改善され、週休二日制や夏季休暇などを導入する企業も増えています。
2.給与と見合っていない
施工管理は仕事の多さゆえ「給与と見合っていない」という人も多いです。
しかし実際のところ、国税局が公表したデータによると、建設業の年収のボリュームゾーン(最も多い割合を占める項目)は400~500万円でした。日本の平均年収は433万円であるため、建設業の平均年収は平均より高めであると言えます。
同じ建設業でも施工管理は、資格取得や実務経験によるキャリアアップができるため、平均以上の給与を得ることは十分に可能です。
【参考】令和2年分 民間給与実態統計調査-国税庁、業種別の給与段階別構成割合-国税庁
3.住宅勤務の仕事が少ない
現場を管理・監督するという仕事の特性上、在宅勤務の求人は少ないです。
自宅で仕事の資料を作成することはありますが、在宅ワークがメインの仕事は少ないと思っておきましょう。
ただ近年では、ICT(情報通信技術)の導入が進んでいるため、将来的に在宅勤務の仕事が増える可能性は十分にあります。
4.人間関係が難しい
施工管理は人間関係の難しさからきついと言われることもあります。施工管理は、作業員や職人など、建設に関わる大勢のスタッフをまとめるのが仕事です。
職人の中には年配の人もいるため、コミュニケーションのとり方に戸惑ってしまう人もいます。意思の疎通がうまくできず、ストレスが溜まってしまうこともあるでしょう。
逆に言えば「コミュニケーションが得意」「人と話すことが好き」という人にとっては天職になる可能性があります。また、一つのものを作るという共通の認識があるため、そこまで大きなトラブルに発展するケースは極めて少ないです。
5.体力面がもたない
建設現場での仕事ということもあり「体力面がもたなくてきつい」という声もあるようです。
施工管理の仕事は、現場のスケジュール管理や作業員への指示出しがメインではありますが工期の都合上、現場での仕事を手伝うこともあります。そのため、日差しが強い夏場や、冷える冬などは体力的にきついと思う場面もあるでしょう。
とはいえ、メインとなる仕事は肉体労働ではないため、普通か、普通以上の体力があれば問題はありません。
6.夜勤や出張が合わない
企業によっては現場が完成するごとに転勤するケースもあります。単身赴任の人も多いため「家族とコミュニケーションがとれない」といった理由からきついと感じる人も多いです。
しかし、中には特定のエリアに仕事を限定している企業もあるため、出張や転勤の回数を減らしたい人は、エリアを限定している企業も探すとよいでしょう。
7.雑用に嫌気がさす
施工管理には、現場監督という肩書もありますが、現場によっては掃除や会議の準備といった雑用が多くなることもあります。
とくにまだ実践的な業務を任せてもらえない未経験の人は、雑用が多くなりやすいため「きつい」と思うことも多いでしょう。
しかし、どのような仕事でも下積み時代というのはあります。順調にキャリアアップを重ねていくうえで大切な時期でもあるため、最初は仕方ないとして割り切ることが大切です。
女性が施工管理をきついと思う部分
女性が施工管理をする中できついと感じる場面は次の通りです。
- 体力的に付いていけない
- 女性の働く環境が整っていない
- 男性が多い職場なため居づらさを感じる
やはりきついと感じる場面は男性と少し違うケースが多いです。とはいえ、施工管理として働く女性が増加していることから、女性の働きやすさも格段に向上しています。
詳しくは、女性がきついと感じる場面や、施工管理に向いている女性の特徴について解説している記事をご確認ください。
施工管理のきつさを解決する方法
これまでに紹介した施工管理がきついと思うポイントは、国が推進する働き方改革によって大部分が改善されています。
とはいえ、すべての企業が働き方改革を推進しているわけではないため、自身できつさを解決することも大切です。
たとえば「残業がきつい」ということであれば、リフォームや改修工事案件をメインに請け負っている企業を探すとよいでしょう。
「給料が少なくてきつい」ということであれば、規模の大きい企業に転職したり、資格を取得したりすることで解決できる場合があります。
自分にマッチした企業を見つけたいという人は、企業の内部情報などにも詳しい転職エージェントに相談してもよいでしょう。
きつい施工管理を未経験におすすめする理由
きついと言われる施工管理ですが、実は未経験の人におすすめです。その理由は次の通り。
- 働き方改革で現場が変化している
- 仕事がなくならない
- キャリアアップができる
1.働き方改革で現場が変化している
先ほど紹介した通り、国が働き方改革を推進しているため、施工管理の労働環境も変化しています。
具体的な改革として2024年から建設業で残業時間の上限規制(罰則付き)が導入されます。これにより、週休二日制の導入や特別休暇などが増えるため、施工管理の労働環境はどんどん良くなるでしょう。
2024年はまだ少し先ですが、企業も急に現場の運用方針を変えられないため、すでに労働環境の改善を進めている企業は多いです。
2.仕事がなくならない
近年ではAIに仕事を奪われることを危惧されている職業もありますが、施工管理はその心配がありません。
もちろん建設業でもデジタル化は進んでいます。しかし、現場の人とコミュニケーションをとりながら、常に臨機応変な対応が求められる施工管理の仕事をAIが取って代わるのは今のところ現実的ではありません。
また、建設ラッシュが続いている東京や大阪といった都心部での工事が終わったあとは、インフラの老朽化が生じるため、工事などのメンテナンスが必要になります。
こういった理由から、施工管理の仕事がなくなる心配をする必要がほとんどありません。
3.キャリアアップができる
施工管理は、資格を取得したり実務経験を積んだりすることでキャリアアップが可能です。キャリアアップすることで自分の市場価値を高められるため、条件の良い企業に転職しやすくなります。
たとえば、1級建築施工管理技士を取得することで主任技術者になれるほか、大規模な工事を任せられるようになります。仕事の幅が増えると企業からの需要も増えるため、優良企業への転職がしやすくなるのです。
まとめ
本記事では、施工管理がきついと言われる理由や施工管理のきつさを解消する方法などを紹介しました。
施工管理は、ひと昔前の労働環境があまり良くなかったことから「きつい仕事」というイメージが強く残っていました。
しかし、現在では働き方改革の推進により多くの企業が職場環境を改善しています。また施工管理は、将来性のある仕事でもあるため「手に職をつけたい」という人にもおすすめです。
未経験でも施工管理になることは可能なため、まずは実際に就職して実務経験を積みましょう。
百田 遼太郎