建設業界には、ホワイト企業とブラック企業が混在しています。そのため、施工管理として就職・転職する場合は、事前の見極めが非常に重要です。
そこで本記事では、ホワイト企業に共通する特徴と、ホワイト企業とブラック企業の見分け方を紹介します。
ブラック企業を避け、後の後悔を未然に防ぎたい人はぜひ参考にしてください。
施工管理にとってのホワイト企業は少ない?
施工管理にとってのホワイト企業は正直なところ多くはありません。かといって少ないわけでもありません。
というのも、これまでの建設業界は、労働環境を杜撰に管理している企業が多かったため、いわゆるブラック企業が多いとされていました。
しかし近年では、2024年4月から導入される時間外労働の上限規制を中心とした働き方改革が推進されているため、各企業の労働環境が改善されつつあります。
そのため、これから就職・転職をする人でも、ホワイト企業に共通する特徴と、見分けるコツさえ把握しておけばホワイト企業で働くことは十分に可能です。
施工管理は必見!ホワイト企業の特徴5選
施工管理として仕事をしていく人なら知っておきたいホワイト企業の特徴は次の通りです。
- 働き方改革を進めている
- 年間休日総数が多い
- 有給休暇が消化されている
- 工期にゆとりがある
- 経営事項審査の評点が高い
1.働き方改革を進めている
前述の通り、建設業界でも働き方改革が推進されており、2024年には罰則付きの上限規制が導入される予定です。建設業を営む企業もそれに先がけて労働観環境の見直しを急いでいます。
しかし、中には「まだ大丈夫だろう」といった考えをもち、以前の労働環境のままで施工管理に働いてもらっている企業も存在します。
そのため、転職で企業の求人を見る際は、働き方改革を推進しているかどうかをチェックすることが大切です。
2.年間休日総数が多い
年間休日数が多い企業はホワイト企業と言えるでしょう。
国が推進する働き方改革に従い、週休二日制を導入している企業であれば年間休日数は120日以上になります。よって企業の年間休日数が120以上の企業はホワイト企業であると思ってよいです。
働き方改革を推進できていない中小企業などでは、年間休日数が100日を切っている場合もあるため注意しておきましょう。
3.有給休暇が消化されている
厚生労働省が令和4年に公表した調査結果によると、建設業の労働者一人あたりに対する有給休暇の付与日数は17.8日でした。全業界での平均付与日数が17.6日だったため、建設業は平均よりも少しだけ有給休暇の付与日数が多いと言えます。
しかし、実際の取得率は全業界での平均が58.3%であるのに対し、建設業は53.2%と少ないことが分かっています。
よって、転職先の企業を見つける際は、有給休暇制度を設けているかという点に加え、実際に有給休暇を取得している人がどれくらいいるかをチェックしておくことが大切です。
4.工期にゆとりがある
工期にゆとりがある企業はホワイトだと言えるでしょう。工期にゆとりがあれば時間外労働も減り、有給休暇も取得しやすくなるためです。
逆に工期のゆとりがないと残業時間は増えます。また、トラブルが起きるとスケジュールがひっ迫するため休日を返上して仕事をすることにもなり兼ねません。特に未経験や新人としてスタートする場合は、工期にゆとりがある企業を選びましょう。
5.経営事項審査の評点が高い
経営事項審査の評点が高い企業はホワイトだと言えます。経営事項審査とは、建設業法に記載されている「建設業者の経営に関する事項の審査」です。
経営事項審査は本来、工事を入札する際の評価基準として見られる審査なのですが、【W】という審査項目を確認することでホワイト企業であるかどうかを見抜けます。
とくに見ておきたい【W】のチェック項目は下記の通りです。
- 建設業退職金共済制度加入の有無
- 健康保険及び厚生年金保険加入の有無
- 法定外労働災害補償制度加入の有無
- 営業停止処分の有無
- 指示処分の有無
- 保険加入の有無
【W】の評点が高いということは、企業が施工管理に対して働きやすいホワイトな環境を提供できているということになります。ぜひチェックしてみてください。
【施工管理】ホワイト企業を見極める3つのコツ
施工管理としてホワイト企業を見極めるコツは次の通りです。
- 求人内容を要チェックする
- 実際の口コミを収集する
- 組織を俯瞰してみる
1.求人内容を要チェック
求人内容で下記の項目をチェックしましょう。
- 休日
- 給与
- 資格手当
給与が自分の望む金額であるか、休日の欄では週休二日制であるかなどをチェックしましょう。
その際、注意しておきたいのは求人票に「週休二日制」と記載があったとしても、必ず土日休みであるとは限らないという点です。
また、建設業においては4休8週を週休2日制と見なすことにも留意しておいてください。
不安な人は、業界や企業の内情に詳しい転職エージェントに相談するとよいでしょう。
2.実際の口コミを収集する
自分にとって良い企業を見つけた際は、その企業で働いていた人が投稿した口コミを参考にしましょう。
口コミは、TwitterやFacebookといったSNS、openworkのような口コミ投稿サイトで確認することが可能です。
ただし、口コミがすべて真実とは限りませんので、参考程度に見ることをおすすめします。また古すぎる過去の投稿はあまり参考にならないため、できれば最新の投稿のみをチェックしましょう。
3.組織を俯瞰してみる
ホワイト企業かどうかを見極めたい場合は、組織を俯瞰してみるのも効果的です。
たとえば、人手が足りていない中小企業の場合、常に現場の人数が少ないため施工管理の仕事が必然的に増えます。
逆に、人手と予算が豊富な大企業であれば一人当たりの仕事量が少なく、工期にも余裕があるためストレスなく働けるでしょう。
したがって、企業を見極める際は、その企業が建設業界でどの程度の規模なのかを把握するのがポイントとなります。
施工管理がホワイト企業に就く3つの方法
施工管理がホワイト企業に就く3つの方法は次の通りです。
- 地方で就職する
- 大企業に就職する
- 大量募集している企業は避ける
1.地方で就職する
地方の建物は基本的に規模が小さいため、建設現場を管理しやすいです。管理がしやすい現場は、施工管理にとって働きやすい職場であるため、長時間労働や休日出勤が少なくなりやすいです。
ただし、地方で就職すると給料が安く、施工管理としてのスキルや知見が伸びにくいというデメリットがあります。そのため「楽なほうがいいから」と安易に決めるのではなく、自身のキャリアプランを考慮したうえで勤務先を決めることが大切です。
2.大企業に就職する
大企業は、株主、世間の目、協業者など、利害関係者が多いため、労働基準法を遵守する傾向があります。実際、大手ゼネコンは働き方改革の導入割合が高く、中には有給取得100%をうたっている企業があるほどです。
また、大企業は給与も高く、大規模な工事も任せてもらえるため施工管理としてのスキルも伸びやすいでしょう。ただし転職する際の難易度が難しいため簡単に入社することはできません。
少しでも規模の大きい企業に転職したいという人は、業界に詳しい転職エージェントに相談するとよいです。
3.大量募集している企業は避ける
人材を大量募集している企業はブラック企業の可能性が高いです。大量の人材を求めているということは、入社後の定着率が低く、離職率が高いと考えられるためです。
ただしこれは建設業に限った話ではないため、ブラック企業を見極めるポイントとして覚えておくとよいでしょう。
まとめ
本記事では「ホワイト企業の特徴」「ホワイト企業の見極め方」などを紹介しました。
ひと昔前までは長時間労働、休日出勤などが多く、労働環境が良いとは言えなかった建設業ですが、現在は国からの働きかけもあり、大幅な改善が進んでいます。
しかし、中には働き方改革を導入していない企業もあるため、これから就職・転職する人は、転職エージェントに相談するなど、慎重に選択することが大切です。
百田 遼太郎