「施工管理はCADの勉強をしたほうが良い」と聞き、勉強を始めようか迷っている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、そもそも施工管理が扱うCADとは?という点から、勉強するべき理由や勉強のメリットなどを紹介します。
これから施工管理者としてキャリアを重ねていきたい人は、ぜひ参考にしてください。
そもそも施工管理が扱うCADとは?
CAD(キャド)とは、建築物の設計・製図ができるコンピューターソフトの総称です。CADを用いることで家具や家電、自動車などの設計もできます。
ひと昔前までは、製図机のうえで手書きによる設計・製図がされていましたが、現在ではパソコン一台で製図におけるすべての作業が行えます。
また、手書きでは難しかった設計もCADを用いることで簡単に行えるため、現代の設計現場において、CADの設計者は欠かせない存在となっています。
CADには大きく分けて2種類のソフトがある
CADソフトは大きく分けて、2次元CADと3次元CADの2種類があります。
2次元CADとは、平面図を作成しながらデザインや設計を行えるソフトです。設計机での作業をそのままパソコン上で行うため、操作方法を覚えやすいというメリットがあります。手書きよりも正確に図面を作成できるうえに、角度や距離などの寸法も自動で記載できるため使い勝手もよいです。
一方の3次元CADとは、仮装の空間上に立体物を作成しながら設計やデザインができるソフトです。3次元であるため、実物と同じように確認できるうえに、角度を変えてのチェックや、拡大・分解による詳細なチェックをおこなえます。
施工管理がCADを使えたほうが良い2つの理由
施工管理がCADを使えたほうが良い理由は次の通りです。
- 設計図を施工図に書き換える必要がある
- ネット上でのやり取りが増えている
1.設計図を施工図に書き換える必要がある
建築士やCADオペレーターから送られてくる設計図を施工図に書き換える際に、CADを利用する必要があります。設計図だけでは工事を進めることができないためです。
この書き換え作業は施工管理の仕事の一つでもあるため、CADは使えたほうがよいと言えます。
ちなみに設計図は、お客さんにプレゼンしたり、行政に提出したりするために作成するものであり、工事用ではありません。
2.ネット上でのやり取りが増えている
近年、建設業界でもIT化が進んでおり、CADデータをネット上でやり取りする機会が増えています。
これまでは手書きの写真を送り合い、修正や共有をしていました。しかし、非常に効率が悪いことから、CADデータでやり取りするケースが増加しているのです。
また、ネット上では複数人に対して同時に共有することが可能なため、業務効率が格段に上がります。
近年ではクラウド上でCADデータを共有するソフトも増えており、施工管理の負担軽減につながっています。
施行管理がCADを勉強するメリット3選
施工管理がCADを勉強するメリットは次の通りです。
- 資格の勉強になる
- 仕事の幅が広がる
- 年収アップ
「CADって難しそうだからできれば勉強したくない…」と思っている人は、ぜひ以下のメリットも確認してください。
1.資格の勉強になる
CADの勉強は資格取得のための勉強にもなります。施工管理技士の試験には、設計に関する問題が出るためです。とくに建築系の施工管理に進む人は、資格だけでなく現場での仕事にも大きく活きます。
また、施工管理技士の資格を保有していれば、企業からも引っ張りだこになるため、年収もアップしやすいです。
2.仕事の幅が広がる
CADの勉強をすることで設計図と施工図、両方の知見が深まるため仕事の幅が広がります。
また、両方の知識を付けることで次のようなメリットもあります。
- 後戻りなど、工事のムダを削減できる
- 建築に関する説明ができるようになり顧客満足度が上がる
ただし、CADは設計に関する知識だけでなく、ソフトを操作するスキルも求められるため習得は簡単ではありません。そのため最初は「いずれ使えるようになれれば良いな」くらいの気持ちで勉強してみるとよいでしょう。本業である施工管理の仕事を第一優先に考えることが大切です。
3.年収アップ
一般的な施工管理は建設業界にたくさんいますが、CADを使える施工管理はまだまだ少ないです。そのため需要が高く、年収も上がりやすい傾向にあります。
また、CADを起点として建築士の資格を取得すれば、大手ゼネコンへのキャリアも開けるでしょう。施工管理技士と建築士をもって大手ゼネコンに入社すれば年収1,000万円も十分に可能です。
CADを使う2つの職種
CADを使う職種は次の通りです。
- CADオペレーター
- CAD設計士
CADを扱えるようになれば、この2つへのジョブチェンジも可能になります。以下にて詳しく確認しましょう。
1.CADオペレーター
CADオペレーターの仕事は、CADソフトを使って建築の設計をサポートすることです。
専門的な知識を必要とすることから、一般的な事務職などよりも高い給与で募集している企業が多いです。また企業で十分な実績を積んだ後にフリーのCADオペレーターとして活動する人もいます。
CADオペレーターとして働きたい場合は、専門学校などに通う必要もなく、図書館で借りられるガイドブックと無料のCADソフトがあれば業務レベルまで引き上げることが可能です。
こういった敷居の低さもCADオペレーターの魅力と言えるでしょう。
2.CAD設計士
CAD設計士の仕事は、CADを用いて設計を行うことです。CADの操作方法だけでなく、建築法や建築学といった専門的な知識も必要とします。
CADオペレーターは、既存の設計図をもとにCADソフトで図面やデザインを作成しますが、CAD設計士はCADを用いてゼロから設計を行います。通常の設計士と同様のスキルをもち、かつCADを扱える人であると覚えておきましょう。
CADを学びたいなら資格勉強がおすすめ
CADを学びたい人は、資格勉強がおすすめです。資格の取得を目指すことで具体的な目標ができるうえに、取得できれば知識やスキルを証明できます。
ただし、CADオペレーターやCAD建築士として仕事をするうえで不可欠な資格はないため、CADのスキルをアピールできるような資格を取得しましょう。
たとえば、「2次元CAD利用技術者試験(1級・2級)」という資格がおすすめです。本資格の2級では、CADの基本機能や作成した図面の取り扱い方法などの知識を問われます。合格率は50%と高くはないため、手始めに取得を目指してみるとよいでしょう。
まとめ
本記事では「施工管理がCADを使えたほうが良い理由」「施工管理がCADを勉強するメリット」などを紹介しました。
近年の建設業界でもIT化が進んでいるため、ネット上でデータのやり取りができるCADを扱える人材の需要が上がっています。
そのため、CADを勉強することで仕事の幅が広がったり、資格の勉強になったりするだけでなく年収アップにもつながります。
これから施工管理としてキャリアを重ね、どんどん稼げるようになりたいという人は、CADの勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
百田 遼太郎