施工管理の労働時間は多いと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。また、将来的にどういった変化が予測されているのでしょうか。
そんなことを考え、さまざまな不安を抱えている人も多いかと思います。
そこで本記事では施工管理の労働時間に関する詳細と未来、ホワイト企業で働く方法などを紹介します。
施工管理として働いた場合の労働環境について詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。
施工管理の労働時間は多い?
施工管理の作業量は膨大なため、労働時間が多くなりやすいです。
具体的には、工程管理、安全管理、品質管理、原価管理といった四大管理に基づく作業に加え、施工図や確認書の作成といった事務作業があります。それぞれの作業に慣れれば労働時間を短縮することも可能ですが、最初のうちはどうしても残業が多くなりやすいです。
その他にも、施工管理の労働時間が増えやすい原因は主に3つありますので、後ほど詳しく見ていきましょう。
帰宅時間は?
施工管理の帰宅時間は、大体19時~21時の間になることが多いです。
1日の大まかなタイムスケジュール例は次の通りです。
時間 | 業務 |
08:00 | 出社・朝礼準備 |
09:00 | 現場を巡回 |
12:00 | 昼休憩 |
13:00 | 現場の人と打ち合わせ |
15:00 | 検査の立ち会い |
17:30 | 作業終了前の確認巡回 |
18:00 | 事務所での事務作業 |
20:00 | 終業・帰宅 |
施工管理の仕事は、工程の進み具合に大きく左右されるため、業務が滞っていると20時より遅くなることもあります。逆に、工程が順調に進んでいれば20時より早く帰宅できる場合もあるでしょう。
ただ工事には悪天候などのトラブルが付き物であるため、どちらかと言うと遅くなりやすいです。
施工管理の労働時間が多い3つの理由
施工管理の労働時間が多い理由は次の通りです。
- 工事が遅れやすい
- トラブルの発生
- 人手不足
1.工事が遅れやすい
施工管理の労働時間が多くなりやすい原因の一つとして挙げられるのが「工事が遅れやすい」という点です。その主な要因は天候不良、設計変更、資材の未着などです。
また、天候不良や資材の未着などやむを得ない理由があったとしても、施工管理は工期内に工事を完成させなければなりません。そのため、場合によっては残業をしたり、休日を返上したりして完成に間に合わせることもあります。
2.トラブルの発生
トラブルの発生により施工管理の残業時間が増えることもあります。
よくあるトラブルは次の通りです。
- 従業員の欠勤
- 現場で事故が起きる
- 近隣住民とのトラブル
- 設計ミスからの設計変更
このように、建設現場ではさまざまなトラブルが起きます。トラブルを未然に防ぐことも施工管理の仕事ですが、トラブルに対応することも施工管理の仕事です。そのため、現場でトラブルが起きると労働時間が増えるだけでなく、施工管理の業務量も増えます。
3.人手不足
近年の施工管理は、新卒離れが続いていることに加え、高齢化も年々進んでいます。このままいくと2030年ごろには半分近い施工管理技士が引退するとされています。
そのため、大規模な建設現場などでは施工管理一人に対する業務量が増え、労働時間の増加につながることが予想されています。
しかし、逆に言えば施工管理の希少価値が上がっているとも言えるため、今から施工管理を目指す人にとってのメリットは大きいです。施工管理になることができれば、将来仕事に困ることもなくなるでしょう。
施工管理の労働時間が減少傾向にある3つの理由
「残業が多い」と言われる施工管理ですが、実は労働時間は減少傾向にあります。その理由は下記の通りです。
- 働き方改革の推進
- ICTの導入
- 技術者の増加
1.働き方改革の推進
働き方改革の推進により、施工管理の労働時間は減少傾向にあります。
具体的には、2024年4月1日から実施される「時間外労働の上限指定」です。その内容とは、以前からあった36協定が一新され、法的拘束力をもつようになるというものです。そのため、適切に労働時間を管理していない企業は、罰金や刑罰といったペナルティを科されるようになります。
施行されるのはまだ少し先ですが、労働環境をすぐに変えることはできないため、来たる日に向けて少しずつ改善が進んでいます。
2.ICTの導入
ICT(情報技術)の導入により、施工管理の労働時間が削減される見通しも立っています。
ICTの導入も国が推進する働き方改革の一種で、具体的にはペーパーレス化、Webカメラの使用などがあります。
Webカメラを導入することで事務所から現場に向けて遠隔で指示を送れるようになるため、施工管理の業務量削減につながります。また、将来的にはロボットやAIの導入も検討されており、建設業全体の労働時間削減に期待されています。
3.技術者の増加
技術者の派遣により、労働時間を削減する動きもあります。
施工管理の仕事をサポートできる技術者派遣が拡大されれば一人あたりの仕事量が減り、労働時間の大幅な削減につながります。
また、技術者のレベルや経歴を見える化した「建設キャリアアップシステム」の導入も推進されています。これにより、適切な技術者を現場に配置できるようになるため、現場の作業負担を減らすことも可能になるでしょう。
労働時間が少ないホワイト企業で働く方法3選
労働時間が少ないホワイト企業で働く方法は次の通りです。
- 大手企業への転職
- 規模の小さい現場で働く
- 転職エージェントに相談する
ホワイト企業で働きたい人、もしくはブラック企業を避けたい人はぜひ参考にしてください。
1.大手企業への転職
大手企業の職場はホワイトである可能性が高いです。大手企業は、協業先やクライアントといった利害関係者が多いため、働き方改革を導入するなどして、ホワイトな職場を維持する必要があるためです。
逆に利害関係の少ない中小企業などは、コスト面の厳しさから働き方改革を導入していない可能性があるため、入社する際は十分に注意しておきましょう。
2.規模の小さい現場で働く
規模の小さい現場は、職人の手配や工事車両の搬入などに伴う手間が少ないため、施工管理はゆとりをもって働けます。現場が小さいと全体もチェックしやすいため、職人などの安全も配慮しやすく、事故も起きにくいです。
また、同様の理由で地方の工事現場もホワイトである可能性が高い傾向にあります。工事内容によっては、定時内に仕事を収めることもできるでしょう。
さらに出張の場合は、現場付近の宿泊施設で滞在できるため、通勤時間の短縮にもなります。
ただし、規模の小さい現場や地方の現場は、都市部の大規模な現場と比べて賃金が少ないため注意が必要です。双方にメリット・デメリットがあるため、よく考えたうえで判断しましょう。
3.転職エージェントに相談する
「自分に合った企業が分からない」「できるだけホワイトな職場で働きたい」という人は、転職エージェントに相談しましょう。
建設業界をメインに据える転職エージェントは、働き方改革や企業の内部事情に詳しいため、相談することで的確なアドバイスをもらえます。
また、これまでの経歴に合った求人も紹介してくれるため、ミスマッチのない企業に出会える可能性も高くなるでしょう。相談や求人の紹介は無料で受けられるため、気になる人はぜひ活用してみてください。
まとめ
本記事では「施工管理の労働時間が多い理由」「労働時間が少ないホワイト企業に入社する方法」などを紹介しました。
建設業界は、働き方改革の影響もあり、労働環境が少しずつ改善されています。しかし、まだまだ労働時間が多く、休日が少ないため、転職の際は企業選びがとても重要になります。
とくに未経験からはじめる場合などは、研修制度が整っている企業を選ぶ必要があるため、選定の難易度はさらに上がるでしょう。「そのあたりもまとめてプロに相談したい」という人は、転職エージェントの活用を検討してみてください。
百田 遼太郎