施工管理は、多くの人をまとめながら工事を完成させる仕事であるため、さまざまな能力が求められます。
そこで本記事では、施工管理に必要な7つの能力と、就職・転職が有利になるスキルや資格などを紹介します。
施工管理として活躍していきたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
施工管理に必要な能力7選
施工管理に必要とされる能力は次の通りです。
- リーダーシップ
- 継続力
- コミュニケーション力
- 危機管理能力
- マネジメント力
- トラブル対応力
- 体力
1.リーダーシップ
建設現場には、作業員や職人、大工といったさまざまな異なる職種の人たちが働いています。施工管理は、そういった多くの人たちをまとめて引っ張っていく必要があるため、リーダーシップが求められます。
また建設現場は、職種が異なることに加えて年齢層も幅広いです。そのため、自分よりも20〜30歳以上離れた職人や大工に対して指示・管理することもあるでしょう。
施工管理は、こういったすこし特殊な環境で工事を進めていくリーダーシップが必要とされます。
2.継続力
施工管理は、一度工事を任されたら、完成するまで現場を離れられません。現場では毎日のように何かしらの作業をしますが、代わり映えのない景色に嫌気がさすこともあるでしょう。
そういった時に手を抜いてしまったり、なまけたりしてしまうと工期に遅れが生じ、施工管理としての信頼を失うことになってしまいます。
そのため、施工管理には、毎日の作業や指示出しといった大変な仕事をコツコツと続けられる継続力が必要とされます。作業をコツコツ続けていればおのずと工事を完成し、大きなやりがいや達成感を感じられるでしょう。
3.コミュニケーション力
施工管理は、先ほど紹介した作業員や職人のほかにも発注者や近隣住民など、非常に多くの人とやり取りします。工事をスムーズに進めるためには、その全ての人と円滑なやり取りをしなければならないため、高いコミュニケーション力が求められます。
世間話などをして仲良くなるスキルも大切ではありますが、施工管理に必要なのは現場に携わる人と信頼関係を築くことです。良い信頼関係を築くためには、ただ相手から意見を聞き入れるだけでなく、こちらからもハッキリと意見を述べ、適宜、的確な判断を出す必要があります。
H3 4.危機管理能力
建設現場には、人より何倍も大きい重機や、落ちるとケガでは済まない高所など、さまざまな危険が潜んでいます。
施工管理は、そういった危険から自分と現場の作業員を守らなければなりません。そのため、危険を事前に察知し、危険に対して的確な判断ができる危機管理能力が求められます。
具体的には、毎日現場の業務を見ながら、職人が間違った工程を踏んでいないか、現場に危険な箇所はないかなど、日々のチェックが不可欠です。
5.マネジメント力
施工管理にはマネジメント力が求められます。
施工管理でいうマネジメント力とは、工事の状況や作業員の仕事をチェックしつつ、スケジュール通りに工事を完成するよう適宜、的確な指示や管理、調整などをする力です。
工事がスムーズに進めるために、設現場全体を適切に管理する力とも言えるでしょう。
マネジメント力には実務経験が必要不可欠です。しかし、新人でも常に先のことを考える癖を付けておけば、マネジメント力も身に付きやすくなります。
6.トラブル対応力
建設現場では、日々さまざまなトラブルが起きます。資材が予定した時間に到着しない、作業員が連絡も入れずに欠勤した、悪天候が続いて作業ができないなど、こういったトラブルは日常茶飯事です。
施工管理は、そういったトラブルをいち早く認知し、適切な判断をくだすトラブル対応力が必要とされます。何かトラブルが起きた際、適切に処理することができれば作業員からの信頼も厚くなり、工事がよりスムーズに進むようになるでしょう。
また、トラブル対応力もこれまでの能力と同様に、実務経験を積む必要があります。未経験からはじめた場合は、先輩から聞いたり本を読んだりして少しずつ覚えていくとよいでしょう。
7.体力
施工管理は、朝礼前の準備からはじまり、作業員が帰ったあとの事務作業に至るまで、多くの仕事があります。ときにはトラブルが原因で工期が迫り、夜遅くまで働き詰めになることもあるでしょう。
また、施工管理の主な仕事は現場での指示・管理ですが、状況によっては現場での肉体労働を手伝うこともあります。そのため、施工管理には長時間の労働にも耐えられる体力が必要です。
とはいえ、近年では国が働き方改革を推進した影響で、長時間の残業や休日労働などが大幅に減少しています。どちらにせよ体力があることに越したことはありませんが、普通か普通以上の体力があれば問題はないでしょう。
施工管理での転職が有利になる資格とスキル
以下では、施工管理での転職が有利になる資格とスキルを紹介します。
施工管理への転職を考えている人や、施工管理でのキャリアアップを考えている人は参考にしてください。
転職が有利になる資格
施工管理は、1級施工管理技士・2級施工管理技士の資格を取得することで転職が有利になります。1級施工管理技士を取得すれば、建設現場の統括として従事できる監理技術者になれるため、建設業界での市場価値を大幅に高めることが可能です。
市場価値が上がれば、転職が有利になることに加えて年収アップやキャリアアップも行いやすくなります。
施工管理技士の資格を取得するためには、満17歳以上であることや、実務経験があることなど、いくつかの受験資格があります。
転職が有利になるスキル
施工管理は、事務作業を行うためWordやExcelといったソフトを扱えるスキルを持っていると就職・転職が有利になります。
具体的には、Excelで原価管理表や工程表を、Wordでは確認書や作業手順書などを作成します。
またCADスキルがある人も転職が有利になりやすいです。CADとは、設計図や図面制作を行うためのパソコンソフトです。施工管理は、設計図や図面などをもとに作業を進めるため、CADスキルがあれば仕事をより効率的に進められます。
施工管理に向いている人の特徴
施工管理に向いているのは、知識やスキルを積極的に学ぼうとする姿勢をもっている人です。前述の通り、施工管理にはさまざまな能力やスキルが求められるため、それらを積極的に獲得しようとする人はキャリアアップもしやすく、何より仕事に向いていると言えます。
同様の観点から、忍耐力がある人や建築への興味関心が強い人なども施工管理に向いていると言えるでしょう。
最初から必要な能力をすべて持ち合わせている人はいません。興味をもって学び続けることができれば、誰でも施工管理にとって必要な能力を身に付けることができます。
施工管理に向いていない人の特徴
施工管理に向いていない人に共通する特徴は次の通りです。
- スケジュール管理が苦手
- コミュニケーションが苦手
- 体力に全く自信がない
- 建築にあまり興味がない
コミュニケーションが苦手で体力に自信がなかったとしても、建築に強い興味をもち、「必ず一流の施工管理技士になる」という強い気持ちがあれば何の問題もありません。
まとめ
本記事では「施工管理にとって必要な能力」「施工管理での転職が有利になるスキルと資格」などを紹介しました。
施工管理にはあらゆる能力・スキルが求められます。しかし、最初からそれら全ての能力をもっている必要はありません。たとえ未経験から施工管理をはじめる場合であっても、先輩から学んだり、実務経験を積んだりする中で身に付けることができるためです。
そのため施工管理を目指したい人は、まず現場での経験を積むことから始めてみるとよいでしょう。
百田 遼太郎