施工管理という職業に対して、「労働時間が長くて大変」というイメージを持つ方もいるでしょう。確かに従来は施工管理の長時間労働が問題視されていましたが、2024年からは「労働時間の上限規制」が建設業にも適応されるなど、国が積極的に働き方改革を進めています。
本記事では、施工管理の仕事内容とそのために必要なスキル、大変なところややりがいなどを分かりやすく紹介します。
「自分でも施工管理の仕事はできるのかな?」と疑問をお持ちの人はぜひ参考にしてください。
施工管理の仕事とは?
施工管理の仕事は主に、建設現場の技術者を指揮監督したり、工事全体を適切に管理したりすることです。
工事の管理では、納期や予算などの進捗を管理し、工期内に納品できるように人員や機材の配置などを調整することもあります。
現場以外にも「書類作成」「設計者との打ち合わせ」といった仕事があり、これらも施工管理の仕事です。加えて、工事現場の現場代理人として、工事を依頼した人の対応をすることもあります。
施工管理と現場監督の違い
施工管理と現場監督の違いは「資格の有無」「仕事範囲」の2点にあります。
資格の有無 | 仕事範囲 | |
施工管理 | 無資格での仕事は可能 ただし、工事現場1件につき「施工管理技士」の資格取得者を最低でも1人配置する必要があるため有資格者の需要は高い | 工事現場を全体的に管理する 現場での仕事はもちろん書類作成などのデスクワークもおこなう |
現場監督 | 必要な資格は特にない | 現場での作業をメインとし、主に技術者への指示や工事の進捗管理をおこなう デスクワークは少なく、現場に常駐するケースが多い |
表の通り、現場での指示がメインとなる現場監督に対し、施工管理は書類作成などのデスクワークもこなします。
現場の管理者が現場監督で、工事全体の管理者が施工管理というイメージを持っておくと分かりやすいです。
施工管理技士の資格に関しては後ほど詳しく解説します。
施工管理は未経験でも目指せる?
施工管理は未経験からでも目指せます。
ただし、施工管理は現場全体の管理を任される大役でもあるため、必要となる知識やスキル、経験などが非常に多いです。また、何も分からずに転職すると、ただ右往左往するだけになり、自分自身が辛くなってしまうこともあるでしょう。
そのため、未経験から施工管理を目指す場合は、まず現場での経験を積むことが大切です。大体1~2年の現場経験があると施工の流れを理解できるようになります。
このことから、施工管理を目指す人は、1~2年の経験を積みながら必要な知識・スキルなどを身に付けるとよいでしょう。
施工管理技士の資格は必要?
施工管理技士の資格が無くても施工管理の仕事をおこなうことは可能です。
しかし、施工管理技士の資格を取得することには下記のメリットがあります。
- 仕事の幅が広がる
- 給与アップにつながる
- 転職やキャリアアップで有利になる
このように、資格の取得には大きなメリットがあるため「建設業界で長く働きたい」という人には取得をおすすめします。
ただし、施工管理技士の資格を取得するためには、所定の実務経験年数(アルバイトを除く)を積まなければなりません。よって、未経験の人はまず現場に出て実務経験を積む必要があります。
施工管理の仕事に必要なスキルと能力
施工管理の仕事に必要なスキルと能力は下記の通りです。
- 幅広い専門知識
- 広い視野
- コミュニケーションスキル
- スケジュール管理能力
それぞれについて解説します。
1.幅広い専門知識
施工管理には、幅広い専門知識が求められます。工事現場では、技術者や専門業者といった専門家たちとコミュニケーションをとる必要があるためです。
とくに建設現場の技術者は専門性の高い知識を取り扱うため、実務経験を通して多くのことを学ぶ必要があります。
2.広い視野
工事現場は、さまざまな役割をもった技術者や作業員が関わり合いながら進んでいます。そのため施工管理は、縦横のつながりや影響力を考慮して随時、適切な判断を行わなければなりません。
何か一つのミスを見逃してしまうだけで現場全体に悪影響を与えてしまうこともあります。よって、施工管理は現場全体を俯瞰して見える広い視野が必要です。
3.コミュニケーションスキル
施工管理は任される仕事の役割が多いため、事務、技術者、クライアントなど、非常に多くの人と関わります。
そのため、どういった立場の人にも対応し、円滑に信頼関係を築いていけるようなコミュニケーションスキルが求められます。
また立場によって寄り添い方や対応の仕方が異なるため、繊細なやり取りが必要になる場面もあるでしょう。
4.スケジュール管理能力
施工管理をするうえで最も大切なのは「工期内に工事を完成させること」です。工期を過ぎてしまうと、クライアントはもちろん現場で働く作業員にも大きな迷惑をかけてしまいます。
そのため施工管理には、無理のない実現可能なスケジュールを作成し、その通りに工事を進めていく「スケジュール管理能力」が必要です。
また、建設現場ではトラブルが付きものであるため、危機管理能力や臨機応変に対応する力も求められます。
このように、施工管理で仕事をこなしていくためには、さまざまなスキル・能力が必要です。最初からすべてのスキルが備わっている人はいないため、まずは現場で経験を積むことが重要になります。
施工管理の仕事で大変なところ
施工管理で大変だとされている点は下記の通りです。
- 労働時間が長くなることがある
- 事故などの危険が伴う
- コミュニケーション疲れ
施工管理の仕事は、基本的に工期が決められていますが、悪天候やトラブルによりスケジュールが遅れるケースが多いです。
施工管理は建設現場の指揮官であるため、スケジュールの遅れを取り戻すために、休日を返上して仕事をしなければならない時もあります。
また現場には「人より大きな重機」「高所」「夏の暑さ」など、多くの危険が潜んでいます。とくに夏場の屋外で作業をする場合は熱中症対策が欠かせません。
さらにコミュニケーション面では「気性の荒い職人」「年配の職人」など、円滑なやり取りが難しい人を相手にする場面もあるため、気疲れしてしまう人もいるでしょう。
施工管理のやりがい
大変なことが多い施工管理ですがその分、次のようなやりがいもあります。
- 建設現場が完成したときの達成感が強い
- 自分で作ったものが後世に残り続ける
先ほど「施工管理の大変なところ」で紹介した通り、施工管理の仕事には苦労が多いです。そんな現場を完成したときのやりがいは他のものに変えられません。
また、自分が指揮官として作り上げた建設物が後世に残るという点も施工管理のやりがいです。
スケジュールの計画や管理に携わった建物が多くの人に利用されているのを見ると「自分は社会に貢献できている」と感じます。この実感は、仕事をするうえで大きなモチベーションにつながるでしょう。
以上のことから、施工管理は大変なことも多い分、相応のやりがいを感じられる素晴らしい仕事だと言えます。
まとめ
本記事では「施工管理の仕事内容」「大変なところややりがい」などを紹介しました。
施工管理は、現場全体を管理するため、仕事は多岐にわたります。その分、大変なことも多いですが、相応のやりがいもある素晴らしい仕事です。
また、施工管理は資格が無くても従事することは可能ですが、現場全体を管理できるほどの知識とスキルが必要になります。そのため、施工管理として仕事をしていきたい人は、まず現場で少しずつ実務経験を積んでいくことが大切です。