施工管理は、建設現場に携わる仕事ということもあり現場作業のイメージが強いですが、実は事務作業も多いです。転職前にこの事実を把握しておかないと、就職後に何かと苦労をすることも増えるでしょう。
そこで本記事では、施工管理が行う事務作業や、事務作業をするのに必要なスキルなどを紹介します。
事務職を探している人や、施工管理という仕事に興味がある人はぜひ参考にしてください。
施工管理は事務の仕事が多い
施工管理は、外での作業に加え、事務での作業も多いです。
時期や工事の進捗状態によっては、現場仕事よりも事務仕事のほうが多くなることもあるでしょう。
では施工管理はどのような事務仕事をこなすのでしょうか。次章で紹介します。
施工管理の事務仕事5選
施工管理の主な事務仕事は次の通りです。
- 打ち合わせ資料の作成
- 工程表の作成
- 施工計画書の作成
- 写真の整理
- 朝礼の準備
1.打ち合わせ資料の作成
打ち合わせ資料を作成することも施工管理が行う事務仕事の一つです。資料は、発注者からの要望のもと、打ち合わせをスムーズに進めるために使用します。
ゼネコンや設計事務所と打ち合わせを行う際も資料作成が必要になるため、施工管理者は一定以上のパソコンスキルに加え、CADスキルも必要になります。
2.工程表の作成
工程表とは、工期とケーブルや発電機などの資材が入るタイミングを想定したうえで作成する資料です。資材を導入するタイミングに加え、調達の段取りや、人員の配置などについても記載しています。そのため、施工管理が仕事を進めるうえで最も重要な資料と言えるでしょう。
工程表を作成する際のポイントは、工期の流れと安全面に配慮したうえで、無理のない後期日程を組むことです。
また、建設現場は悪天候や資材の未達などといったトラブルが付きものであるため、想定したスケジュールのみに捉われない臨機応変さも重要になります。
3.施工計画書の作成
施工計画書とは、品質計画や確認作業に関する作業を工程別にまとめた計画書です。建築物の図面や仕様書に基づいて作成する必要があり、施工内容を左右する重要な資料となっています。
施工計画書は、木材とコンクリート、どちらを使用するかなどの工種を明記することも大切です。
また管理者工事者によっては、依頼主の承認が必要な場合もあるため注意しなければなりません。承認期間を含めて施工に着手する3週間前には提出するようにしましょう。
4.写真の整理
工事現場の写真を整理することも施工管理が行う事務仕事の一つです。現場の写真は、工事の進捗具合を報告したり、法律を厳守して工事していることを証明したりする際に利用します。
現場の写真は膨大になるため、大変な作業にはなりますが、最近はアプリ上で手軽に整理できるため業務の負担は軽減されています。
5.朝礼の準備
朝礼では、準備体操や安全喚起に加え、その日行う作業内容の確認や周知などを行います。
そのため、施工管理は事前に次の事務作業を済ませておく必要があります。
- 連絡事項や安全喚起の整理
- 当日の工事内容を説明するための資料の作成
- 現場の危険個所を可視化した説明資料の作成
いずれも重要な事務作業となっています。
施工管理の事務作業で必要なスキル3選
施工管理の事務作業を行ううえで必要となるスキルは下記の通りです。
- パソコンスキル
- CADスキル
- コミュニケーションスキル
1.パソコンスキル
事務作業で欠かせないのは、やはりパソコンスキルです。とはいえ、プログラミングのような専門性の高い知識やスキルは必要ありません。
Word、Excel、PowerPointといったツールの基本機能が使えれば事務作業はできます。
パソコンスキルに全く自信がないという人は、マイクロソフト社が実施している資格検定「MOS」の勉強をするとよいでしょう。勉強することで基本的なパソコンスキルを網羅的に習得することが可能です。
2.CADスキル
CADとは、パソコンで設計図を作成する際に用いられるツールです。施工管理は、業務の一環として施工図を作成するため、このCADを使うスキルが必要になります。
CADスキルは業務をしながらでも覚えることは可能ですが、不安な人は事前にツールをインストールして触っておくとよいでしょう。会社では有料のCADを使うケースが多いですが、無料のCADもあります。
3.コミュニケーションスキル
事務作業とコミュニケーションスキルは一見関係なさそうに見えますが、実は重要な結びつきがあります。事務作業には会社内での報連相も含まれるためです。
たとえば、工程表を作成したり内容を相談したりする際は、上司、施主、職人などさまざまな人に話を聞きながら進めます。そのため、コミュニケーションスキルがないとスムーズに事務作業を行うことができません。
高いコミュニケーションスキルをもっておく必要はありませんが「事務作業だからコミュニケーションは関係ないだろう」と思い込まないようにしておきましょう。
施工管理のつらい点とやりがい
以下では、施工管理のつらい点とやりがいを紹介します。
施工管理のつらいこと
施工管理のつらいことは次のような点にあります。
- 作業量が多い
- 覚えることが多い
- コミュニケーションが難しい
施工管理は、現場全体の管理を行う仕事であるため、作業量が多く、覚えることも多いです。
たとえば、施工管理は四大管理と呼ばれる4つの主な業務を任せられます。この4つそれぞれが重要なため、全てを把握するのには時間がかかります。
また、現場全体を管理するためには作業員、大工、職人に加えて、近隣住民やお客さんなど、幅広い人と関わり合いをもつ大変さもあります。
施工管理のやりがい
施工管理のやりがいは次のような点にあります。
- 建築に関わった建物が後世に残り続ける
- 多くの人に感謝される
- キャリアアップしやすい
施工管理として携わった建物は後世にわたって残り続け、地図やマップなどにも掲載されます。目に見える形で自分の成果を見ることで大きなやりがいを感じられるでしょう。
また、施工管理は、一軒家や道路といったライフラインやインフラの建設に携わるため、多くの人から感謝をされます。建築施工管理技士として一軒家の建設に関われば、お客さんから直接感謝を伝えられることもあるでしょう。
さらに施工管理は、施工管理技士という資格を取得することで仕事の幅が広がるため、誰でもコツコツと頑張ればキャリアアップができます。努力を重ねてキャリアアップできる点は、施工管理ならではの魅力と言えるでしょう。
まとめ
本記事では「施工管理が行う事務作業」「施工管理の事務作業を行う際に必要なスキル」などを紹介しました。
現場仕事のイメージが強い施工管理ですが、実は事務作業が多いです。そのため、現場では女性の施工管理者なども活躍しており、年々増加しています。
また、施工管理の事務仕事はそこまで専門性が高くないため、未経験からでも十分に活躍することが可能です。さらに資格を取得することでキャリアアップもできるため、手に職を付けたい人にもおすすめできます。
百田 遼太郎