工事の進行状況を時系列で視覚化する工程表は、工事を効率的に進行するために欠かせません。
工程表を作るときは、作業担当者を明確にしたり、デザインや管理・共有方法に注意しましょう。
今回は、工程表を作る方法や手順を解説します。
工程表とは?
工程表とは、工事のスケジュールや流れを視覚化した計画表のことです。
各タスクの開始日、終了日、担当者などを一覧にして表示し、全体の流れを把握しやすくします。
工程表はプロジェクト管理において非常に重要なツールであり、工事を効率的に進行するために欠かせません。
工程表の目的
工程表の目的は、工事の進行状況を時系列で視覚化することです。
計画通りに作業が進んでいるか、遅延がないかなどを一目で確認でき、工程表があることで必要に応じて素早く対応することができます。
また、関係者間のコミュニケーションを促進し、共同作業をスムーズに進める役割も果たします。
工程表の種類
工程表の種類は以下の6つです。
- バーチャート工程表
- ガントチャート工程表
- グラフ式工程表
- ネットワーク工程表
- 曲線式工程表
- 座標式(斜線式工程表)
それぞれメリット・デメリットがあるため、プロジェクトに最適な形式の工程表を選択する必要があります。
詳しくは、工程表の種類について解説している記事をご参照ください。
工程表を作る方法
工程表を作る方法は主に以下の5つ。
- 手書き・紙面
- ワード
- エクセル
- スプレッドシート
- 工程管理ツール・ソフト
手書きで紙に描くシンプルな方法から、エクセルやワードなどのオフィスソフトを使用した方法、専門の工程表作成ツールを利用する方法などがありますが、エクセルでの作成が主流です。
また、近年普及している工程表作成ツール・ソフトは、大規模プロジェクトにおいて効率的な管理を可能にします。
手書き・紙面
手書き・紙面での工程表作成は、最も基本的かつ直感的な方法です。
作成手順は以下の通りです。
- プロジェクトのタスクリスト作成
プロジェクトで行うタスクをリスト化し、開始日、終了日、担当者などを明記します。 - タイムラインの描画
紙の上部に日付や週を記入し、タイムラインを描きます。 - タスクの配置
タスクリストからタスクを取り出し、タイムライン上に棒グラフで表現します。依存関係がある場合は、線でつなぎます。 - 詳細情報の追加
必要に応じて、各タスクの詳細情報や注意点を追記します。
手書きの工程表は、変更が容易で、小規模な工事なら進捗を管理できるでしょう。
パソコンを使用しないため、場所を選ばず作成できる利点もあります。
しかし、大規模なプロジェクトでは管理が困難になることもあるため、適切なケースでの使用が推奨されます。
Word
Wordでの工程表作成は、Microsoft 365の中でも比較的簡単に取り組めます。
作成手順は以下の通りです。
- 「挿入」タブから「表」を選び、必要な行と列の数を指定して表を作成
- 各セルにタスク名、開始日、終了日などの情報を入力
- 表のデザイン機能を使って、色や罫線のスタイルをカスタマイズし、見やすく整理する
Wordは特別なスキルやツールを必要としないため、誰でも手軽に作成できます。
完成した工程表は印刷やPDF保存も可能なため、他のメンバーとも簡単に共有できるでしょう。
エクセル
エクセルでの工程表作成は、多機能で柔軟な表現が可能です。
まず、新しいシートを開き、列にタスク名、開始日、終了日などを入力します。
次に、ガントチャートのような視覚的な表現をしたい場合は、「挿入」タブから「棒グラフ」を選びます。
エクセルの関数を使えば、日数の計算や依存関係の表示も自動化できます。
エクセルの豊富なテンプレートを利用することも可能で、初心者でも手軽に工程表を作成できるでしょう。
エクセルでの工程表は、中規模から大規模な工事に適しており、詳細に進捗を管理する場合に役立つでしょう。
Googleスプレッドシート
Googleスプレッドシートでの工程表作成は、オンラインで共有・共同編集できることが特徴です。
また、変更履歴が残るため、今までどのような修正を行ったか確認できます。
操作感はExcelに似ており、「挿入」から「グラフ」を選び、棒グラフを配置すれば簡単にガントチャートを作成できます。
さらに、テンプレートの利用や外部ツールとの連携も容易で、カスタマイズにも対応します。
工程表作成ツール・ソフト
工程表作成ツール・ソフトは、複雑なプロジェクト管理に特化しています。
ドラッグ&ドロップで感覚的に操作できるツール・ソフトが多いため、初心者でも容易に操作できるでしょう。
また、工程表を修正する際の工数も削減できます。
さらに、見積もり・実行予算・発注管理などの機能も備えていることが多く、施工管理の業務工数を大幅に削減できるでしょう。
工程表を作る手順
工程表を作る際の一般的な手順は以下の通りです。
- 施工手順の決定
- 施工期間の設定
- 人員・工事配分
- 工程表の種類を決定
それぞれの工程での作業内容を確認していきましょう。
①施工手順の決定
施工手順を明確にすることで、作業効率が向上し、プロジェクト全体の遅延リスクが低減します。
全体の工程を網羅的にリストアップして、各作業の依存関係を明確にし、作業の優先度を設定しましょう。
明確な手順が設定されていない場合、作業の進行が不明確になり、リソースの無駄や遅延が発生する可能性が高くなります。
②施工期間の設定
施工期間が適切に設定されていると、工程表の信頼性が高まります。
各作業の所要時間を詳細に計算し、それに依存関係やバッファを加味して総施工期間を算出しましょう。
また、過去プロジェクトの工程表データを参照することで、より現実的な期間を設定できます。
③人員・工事配分
人員・工事配分が適切に行われると、プロジェクト全体の効率が向上し、成功の確率が高まります。
作業内容に応じて専門性が求められる場合や、多数の作業者が必要な場合があるため、そこに適切な人員を割り当てることが重要です。
また、作業の優先度や緊急性を考慮することも必要です。
例えば、緊急性が高い作業には、より多くのリソースを割り当てることで、プロジェクト全体の遅延リスクを低減することができます。
④工程表の種類を決定
工程表の種類は主に以下の6つで、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
- バーチャート工程表
- ガントチャート工程表
- グラフ式工程表
- ネットワーク工程表
- 曲線式工程表
- 座標式(斜線式工程表)
プロジェクトの規模や複雑性に応じて最適な種類に工程表を選びましょう。
また、総合工程表をもとに月間工程表や週間工程表、細部工程表など複数の工程表を作成することもあります。
工程表を作るときの注意点
工程表を作る時の注意点は以下の3つです。
- 作業担当者の明確化
- わかりやすいデザイン
- 管理・共有方法
作業担当者の明確化
作業担当者を明確にすることで、各作業がスムーズに進行し、プロジェクト全体の効率が向上します。
工程表に担当者名を明記するだけでなく、定期的な進捗確認ミーティングを設けるなどして進捗を管理しましょう。
担当者が不明確な場合は、誰が責任を持つのかが不明確になるため、問題が発生した際の対応が遅れる可能性もあります。
わかりやすいデザイン
工程表は、作業者や関係者が一目でプロジェクトの進捗状況を把握できる「わかりやすいデザイン」である必要があります。
以下のようにして、わかりやすいデザインの工程表を作りましょう。
- 作業の状態や優先度に応じて色分けをする
- 重要なマイルストーンには目立つアイコンを使用する
- フォントは読みやすいものを選ぶ
これらの要素を工夫することで、工程表はより使いやすく、効果的なものとなります。
管理・共有方法
工程表は、関係者全員が必要な時に容易にアクセスできる必要があるため、オンラインで共有・共同編集できる工程管理ツールやGoogleスプレッドシートの活用をおすすめします。
- リアルタイムでの情報更新が可能
- 関係者がいつでも最新の情報を確認できる
- 権限設定によって情報のセキュリティを確保できる
- 通知機能やコメント機能が備わっている
まとめ
工程表は、プロジェクト管理において欠かせないツールです。工程表には手書きから専用のソフトウェアまで多くの種類があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
工程表を作る際には、施工手順の決定、施工期間の設定、人員・工事配分、そして工程表の種類を決定するといった手順が基本となります。これらの手順を踏むことで、より効率的に工程表を作成できるでしょう。
また、工程表作成において注意すべき点としては、作業担当者の明確化、わかりやすいデザイン、そして効率的な管理・共有方法の選定です。これらを考慮することで、工程表はより有用かつ効果的なものとなります。
百田 遼太郎