施工管理技士の資格は全部で7種類あります。どの資格にも「施工管理」というワードが入っていますが、業務内容や試験の合格率など異なる点が多いため、受験を検討している人は注意が必要です。
そこで本記事では、施工管理技士の資格の難易度と合格率、取得のメリットなどについて詳しく解説します。
施工管理技士の資格取得を検討している人はぜひ参考にしてください。
施工管理技士とは
施工管理技士とは、建築現場などで四大管理(工程管理、品質管理、安全管理、原価管理)を行う資格保有者です。
施工管理技士の資格は、建設業法27条に基づき、施工管理技術検定に合格した人のみが取得できます。
施工管理の仕事は、業務範囲が広いことから求められる知識も多いです。そのため、施工管理技士の資格は、そういった知識を客観的に保障するための証拠とも言えるでしょう。
【施工管理技士】資格は全部で7種類
施工管理技士の資格は全部で7種類あります。
資格の名称 | 業務の内容 |
建築施工管理技士 | マンション、施設、学校などで工事の進捗管理、工事品質の維持などを行う |
土木施工管理技士 | 道路、鉄道、河川、ガス工事などの土木工事現場で施工管理を行う |
管工事施工管理技士 | 空調ダクト、冷暖房設備などの設計や管理などを行う |
電気工事施工管理技士 | 送電設備、照明の受電計画の立案、配線設計の入札・契約などに携わる |
電気通信工事施工管理技士 | LAN配線、ケーブル配線の工事・管理などを行う |
造園施工管理技士 | 公園、庭園などの設計・開発、外構などの管理に携わる |
建設機械施工技士 | クレーン車、油圧ショベルなどの建設機械の操作や管理に携わる |
【施工管理技士】資格別の難易度と合格率
施工管理技士の中でも人気が高い下記資格の難易度と合格率を紹介します。
- 2級建築施工管理技士
- 1級建築施工管理技士
- 土木施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
2級建築施工管理技士
2級建築施工管理技士の資格は、一次試験と二次試験に合格することで取得できます。また、一次試験に合格すると2級施工関技士補の資格を得ることが可能です。
2022年に行われた試験の結果は次の通りとなっています。
一次試験の合格率 | 42.3% |
二次試験の合格率 | 58.9% |
一次試験では約半数の受験者が合格し、2級建築施工管理技士補の資格を取得しています。二次試験でも3割以上の受験者が合格していることから難易度はそこまで高くないと言えるでしょう。
1級建築施工管理技士
1級建築施工管理技士は、1級施工管理技術検定の一次試験と二次試験に合格することで取得できます。
2022年に実施された試験の合格率は次の通りです。
一次試験の合格率 | 46.8% |
二次試験の合格率 | 45.2% |
1級施工管理技術検定は、豊富な実務経験を有する人を対象にした試験ですが、一次試験の合格率は36.0%と低いです。しかし、二次試験の合格率が過半数を超えていることから、国家資格としての難易度はそこまで高くないと言えるでしょう。
なお、一次試験に合格すると1級建築施工管理技士補の資格と二次試験の受験資格を得られます。
土木施工管理技士
土木施工管理技士の資格は1級と2級に分かれています。等級に応じた試験に合格することで資格を取得できます。
土木施工管理技士の1級・2級の合格率は次の通りです。
1級の合格率 | 25.8% |
2級の合格率 | 35.7% |
土木施工管理技士の資格を取得することで、橋梁工事や道路工事といった土木工事の主任技術者としてのキャリアが開かれます。
土木施工管理技士は施工管理技士の資格と異なり、一次試験(1級・2級)の受験資格に実務経験は求められませんが、試験の難易度はそこそこ高いです。そのため、まずは2級を取得し、現場で経験を積みながら1級の受験勉強を進める方法をとるとよいでしょう。
実務経験を積みながら勉強することで業務と情報が結びつくため記憶に定着しやすくなります。
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士も1級と2級に分かれています。
電気工事施工管理技士の合格率は1級・2級(一次試験・二次試験ともに)毎年50~60%を推移しており、合格率に大きな差がないのが特徴です。
電気工事の分野の施工管理に携わりたい場合は、資格の取得が必須なため、まずは2級を優先的に取得しましょう。
なお、電気工事施工管理技士も土木施工管理技士と同様に1級・2級(一次試験のみ)の受験資格に実務経験は求められません。
施工管理技士の資格を取得するメリット
建築施工管理技士や土木施工管理技士といった、施工管理技士の資格を取得するメリットは次の通りです。
- 年収アップ
- 責任感のある仕事を任せてもらえる
- 市場価値が上がる
1.年収アップ
施工管理技士の資格を取得することで年収がアップします。有資格者になることで現場で任される仕事の幅が広がり、人材としての希少価値が上がるためです。企業によっては資格手当の支給もあるでしょう。
また、資格を持っていると転職も有利になるため、仕事に困ることもなくなります。1級を取得すれば60代になっても重宝される人材として扱われるでしょう。
2.責任感のある仕事を任せてもらえる
資格を取得することで、責任感のある仕事を任せてもらえるようになります。
たとえば、2級施工管理技士の資格を取得することで、主任技術者として従事できるようになり、責任感のある仕事を任せてもらえます。
1級を取得すれば監理技術者へのキャリアが開かれるため、大規模な工事の責任者として現場で指揮・管理を行えます。
3.市場価値が上がる
施工管理技士の資格を取得することで建設業界での市場価値を上げられます。
1級の有資格者になれば、大手ゼネコンなどへのキャリアアップも可能になるほどの市場価値を得られるでしょう。
また、市場価値が上がれば転職も有利になり、年収アップも実現しやすくなります。
このように、施工管理技士の資格取得にはさまざまメリットがあります。国家資格の中では難易度も低めなため、手に職を付けて安定した生活を送りたい人は、資格の取得を検討するとよいでしょう。
【施工管理技士】難易度に関するよくある質問
以下では、施工管理技士の資格を取得する際によくある次の質問に回答します。
- 2級建築管理技士の合格に必要な勉強時間は?
- 2級施建築施工管理技士は年々難しくなってる?
- 2級建築施工管理技士は何年の実務経験が必要?
2級建築管理技士の合格に必要な勉強時間は?
2級施工管理技士の合格に必要な勉強時間は一般的に100~300時間程度だと言われています。
すでに現場で実務経験を積んでいる人や、7種類あるうち1つでも施工管理技士の資格を取得している人は必要な勉強時間が少なくなると思ってよいでしょう。
2級施建築施工管理技士は年々難しくなってる?
2級施工管理技士の合格率の推移は下記の通りです。
2019年 | 32.6% |
2020年 | 32.1% |
2021年 | 25.5% |
2022年 | 42.3% |
表の通り、その年の受験者数によって例年3~5%ほどの差はあるものの「年々難しくなっている」という傾向は見受けられませんでした。
2級建築施工管理技士は何年の実務経験が必要?
2級建築施工管理技士は、一次試験、二次試験ともに実務経験の制限がありません。2級施工管理技士の受験資格は「満17歳以上」のみとなっています。
ただ二次試験の受験は、一次試験に合格している必要がある点に留意しておきましょう。
まとめ
本記事では「施工管理技士の種類と合格率」「施工管理技士を取得するメリット」などを紹介しました。
施工管理技士の資格取得には、年収アップ、市場価値の向上、転職の優位性向上など、さまざまなメリットがあります。また、合格率も高く、試験の難易度も低めなことから比較的おすすめな資格と言えます。
とはいえ、1級の難易度はそこそこ高いため、まずは2級を取得し、実務経験を積みながら試験勉強を進めるとよいでしょう。
百田 遼太郎