施工管理の仕事をつらいと言う人もいれば、反対に楽だと言う人もいます。なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。
本記事では、施工管理が楽だと言われる理由とつらいと言われる理由に加えて、7種ある施工管理の中でもっとも楽だとされている職種をランキング形式で紹介します。
施工管理として、できるだけ楽に働きたいという人はぜひ参考にしてください。
施工管理が楽とされる3つの理由
施工管理の仕事が楽だとされている理由は次の通りです。
- 労働環境の改善
- 経験があれば年齢不問
- 未経験でもキャリアスタートできる
1.労働環境の改善
以前の施工管理は労働環境が悪く、楽ではないイメージを持たれがちでした。しかし現在では、国が推進する働き方改革の影響もあり、労働環境がどんどん改善されています。
具体的には、2024年に運用が開始される時間外労働の上限規制や、週休二日制の導入推進などがあります。建設業界の企業は、時間外労働の上限規制を行わないと国からペナルティが与えられるため、大手ゼネコンを中心に労働環境の見直しが進められています。
こういった影響から施工管理は以前より働きやすくなっており、仕事が楽だと感じる人も増加しているようです。
2.経験があれば年齢不問
施工管理は、経験があれば50代・60代になっても年収を落とさずに仕事ができます。一般職であれば、年齢と共に年収は落ちますが、施工管理は経験により体力面をカバーできるため年収が落ちにくいです。
よって、20代でしっかりと実務経験を積み、資格を取得することで30代・40代での仕事を楽にできます。
また、施工管理は、経験と資格があれば転職やキャリアアップが有利になります。つまり施工管理としての経験が豊富にあれば仕事が楽になることに加え、年収アップにもつながりやすくなるということです。
3.未経験でもキャリアスタートできる
施工管理は未経験でもキャリアスタートできます。建設業では慢性的な人手不足が続いているためです。
未経験としてキャリアスタートした場合、最初は先輩について仕事内容や知識などを蓄えます。仕事を覚え、2級施工管理技士や1級施工管理技士といった資格を取得すれば、大規模な現場を任せられる施工管理技士として活躍できるようになります。
とはいえ、最初のうちは仕事を覚えながら現場の手伝いをしたり、仕事終わりに資格の勉強をしたりするため忙しいです。休息する間がなく、つらいと感じるときもあるでしょう。
しかし、施工管理はやりがいに溢れているため、日々高いモチベーションをもちながら仕事に打ち込むことができます。
施工管理がつらいと言われる3つの理由
施工管理の仕事がつらいと言われる理由は次の通りです。
- 長時間労働
- 休みがない
- 人間関係
1.長時間労働
働き方改革の推進により労働環境の改善は進んでいますが、まだまだ改善途中の企業もいます。
大手の企業は、利害関係者が多く、クリーンな経営をする必要があるため積極的に働き方改革を導入していますが、中小企業では導入が進んでいないケースが多いです。
長時間労働を強いられる企業の場合、朝礼の時間より早く出勤し、作業員が帰ったあとには長時間のデスクワークが待っています。現場でトラブルが起きてスケジュールがひっ迫するような状況になると、さらに時間外労働は増えるでしょう。
そういった環境がまだ残っている企業に入社してしまうと「仕事がつらい」と感じることも増えてしまいます。
2.休みが少ない
前述の通り、働き方改革を導入できていない企業では、休みが少ないこともあります。
また、スケジュールに遅れがあり、工期が迫っている場合は休みを返上して働くこともあるでしょう。
さらに中小企業等で働く場合は、現場で働く人員も少ないため、必然的に施工管理の仕事量が増えます。ただでさえ施工管理の仕事は多いため、人員が少ない現場での仕事は何かとつらいことも多くなります。
そのため、施工管理の求人を探す場合は「他の企業と比べてどれくらいの休みがあるか?」という点をチェックすることが大切です。
詳しくは、施工管理の一般的な休日数や有給休暇の取得割合などについて解説している記事をご確認ください。
3.人間関係
施工管理の仕事は、現場にいる作業員、職人などはもちろん、近隣住民や発注者といった人たちとコミュニケーションをとる必要があります。
そのため、現場によっては発注者と職人との間で板ばさみに合い、人間関係に嫌気がさすこともあるでしょう。また、近隣住民からの苦情を聞いたり、作業員からの苦情を発注者に伝えたりなど、施工管理が苦労するケースは何かと多いです。
とはいえ、こういった人間関係に慣れている人やコミュニケーションスキルが高い人にとっては、施工管理が天職になり得る可能性があります。
人間関係を苦手とする人でも、経験を積んでいく中で自然とコミュニケーションスキルや折衝力は鍛えられるため、そこまで気にする必要はありません。
施工管理で楽な職種ランキング
以下では、7種類ある施工管理の中で楽だとされる職種をランキング形式で紹介します。
【3位】造園施工管理技士
造園施工管理技士が楽だとされるのは、工事の規模が小さいためです。
たとえば、マンション工事の場合、土木施工管理技士はマンションが建造される敷地全体を管理します。一方の造園施工管理技士の場合は、マンション周辺の木や植物が植っている部分のみを工事します。
また、使用する重機や人員なども少なくなるため、他の職種より楽だと位置付けされることが多いです。
【2位】土木施工管理技士
造園施工管理技士より工事の規模が大きい土木施工管理技士が楽だとされているのは、工期にゆとりがあるためです。
たとえばビルを建設する場合、土木施工管理技士がビルの敷地を整え、その後に建築施工管理技士が建設を始めます。
敷地を整える際に、悪天候や重機トラブルなどがあった場合は、建築施工管理技士に工期のしわ寄せがいきます。工期を過ぎてしまうと発注者からの信用を失うため、休日を返上して働くこともあるでしょう。
そのため造園施工管理技士よりも、工期にゆとりが生まれやすい土木施工管理技士のほうが楽だと言われることが多いです。
【1位】建築施工管理技士
建築施工管理技士が楽だとされるのは、工期にゆとりがあり、悪天候などの被害を受けにくいためです。
ビルやマンションを建設する場合、建築施工管理技士は工事の後半を担当します。後半部分ではすでに屋根となる部分が設置されているため、悪天候によって作業が停止になることがほとんどありません。
また、よく楽だと言われることが多い電気通信施工管理技士も実は大変なことが多いです。電気通信施工管理技士は、建築施工管理技士よりもさらに後半の工事を担当するため、前半の工事で起きたトラブルのしわ寄せを受けやすいためです。
さらに電気通信施工管理技士が工事する頃には屋根に加えて電気もあるため、夜通しでの作業が可能になります。そのため、工期がひっ迫していると長時間労働を強いられることもあります。
以上の理由から、工期にも比較的ゆとりがあり、悪天候の被害を受けにくい建築施工管理技士が楽だと言われることが多いです。
施工管理として楽に働く方法
施工管理として楽に働くためには、ホワイト企業を見つけるか、大手・中堅のゼネコンを狙うという方法が一般的です。しかし、ホワイト企業や大手ゼネコンは非常に人気が高いため、一足飛びでの転職は難しいでしょう。
そのほか、楽に働くための方法として、自分が希望する労働条件に合った企業を見つけるという方法があります。自分が希望する労働条件であればストレスフリーで働けるため、精神的にも楽になるでしょう。
とはいえ、多くの求人の中から自分に合った企業を見つけるのは難しいです。そういった場合は、建設業界と企業の内情に詳しい転職エージェントに相談してみましょう。自分自身が望む労働条件を伝えれば、ピッタリの求人を紹介してくれます。
まとめ
本記事では「施工管理が楽と言われる理由」「施工管理で楽な職種」などを紹介しました。
施工管理は、選択する職種や企業などで楽だと感じるか、つらいと感じるかが決まります。
できるだけ楽に働きたい人は、多くの企業を把握し、非公開の求人を保有している転職エージェントに相談するとよいでしょう。
百田 遼太郎