きついというイメージが根強く残っている施工管理ですが、将来性はあります。
本記事では「なぜ施工管理の将来性があると言えるのか」という点に加え、施工管理を仕事にするメリットや向いている人の特徴などを紹介します。
これから施工管理として働くかどうかを検討している人や「すでに働いているけど将来性に不安を感じる」という人はぜひ参考にしてください。
施工管理に将来性はある
施工管理の将来性はあります。そのもっとも大きな理由は、建設業の市場が伸び、仕事が溢れかえっているためです。建設業の市場を表す下記の表をご覧ください。
ご覧の通り、市場規模を表す黄色のグラフ(民間投資額)が2011年から右肩上がりに増え、37兆円の規模まで膨れ上がっています。
東京オリンピックの閉幕により一旦落ち着くことが予想されましたが、現在は2025年に予定されている大阪万博をはじめ、高速道路やトンネルなどの老朽化対策を含む大型の公共工事が着工を進めています。そのため、現場のリーダーを務める施工管理の仕事は安定していると言えるでしょう。
問題点もあるが改善の兆し
施工管理の仕事は溢れかえっている一方で、人手不足が続いているという深刻な問題があるのも事実です。
人手不足が続く要因として考えられるのは、施工管理に対する「きつい」というイメージや、若者離れなどが挙げられるでしょう。そのため、建設業界の企業は、積極的に未経験者を雇い、育成に力を入れています。
しかし、現在は国が推進する働き方改革の影響もあり、職場環境が大幅に改善されています。2024年には、時間外労働の上限指定も義務付けられるため、残業時間の減少も見込まれています。人手不足が続くいま、未経験者にとっては大きなチャンスと言えるでしょう。
施工管理を仕事にするメリット4選
施工管理を仕事にするメリットは次の通りです。
- 仕事に困らない
- 資格取得でキャリアアップが可能
- やりがいが他の仕事より強い
- 未経験でもチャレンジできる
1.仕事に困らない
前述の通り、建設業の需要は年々増加しているため、仕事に困ることはありません。とくに施工管理は現場ごとの設置が義務付けられているため、今後も仕事がなくなるということはないでしょう。
AIやインターネットの進化に伴い、さまざま仕事なくなっていく中で、今後も需要が増え続ける施工管理の仕事は希少と言えます。
2.資格取得でキャリアアップが可能
施工管理は、施工管理技士という資格を取得することでキャリアアップが可能です。一般職では、十分なキャリアを積んでもなかなか出世することができませんが、施工管理の場合は資格を取得することで出世の道が一気に開けます。
また、資格を取得すれば転職も有利になるため、自分が希望する条件に合う企業を選ぶことも可能です。とくに施工管理の仕事は全国どこにでもあるため、自分の働きたい場所で仕事を探すこともできるでしょう。
さらに1級施工管理技士を取得すれば、大手ゼネコンへの転職も視野に入ります。大手に転職できれば年収や職場環境も優遇されるため、順風満帆な生活を送れるでしょう。加えて、50代・60代になっても1級施工管理技士の資格をもっていれば仕事に困ることはありません。
ただし、2級はともかく、1級の取得はやはり難しいです。必要実務年数などの受験資格もあるため、試験にたどり着くまでも時間がかかります。受験資格や資格の難易度については施行管理の資格について詳しく解説している記事をご参考ください。
3.やりがいが他の仕事より強い
施工管理は他の仕事よりもやりがいを強く感じられます。施工管理の仕事は、トンネルや道路といった公共工事に関わることが多いためです。
「国や人の役に立つものを作れている」というやりがいは非常に大きく、日々働くためのモチベーションにもつながります。とくに一軒家の建設に関わる施工管理技士は、完成後に直接感謝を伝えられる場面もあるため、一段とやりがいを感じられるでしょう。
また、施工管理として関わった建造物は、このさき何十年、何百年も残り続けます。地図やGoogleマップにも表示されるため、施工管理はそれらを見るたびに強いやりがいを感じられるでしょう。
したがって、仕事に対してやりがいや社会貢献感を求める人にとって、施工管理の仕事はピッタリだと言えます。
4.未経験でもチャレンジできる
施工管理は未経験からでもチャレンジができます。前述の通り、建設業界では深刻な人手不足が続いているためです。
そういった人手不足を受けて、建設業界の企業は未経験者を受け入れ、育成することに力を入れています。そのため、研修期間や育成制度が充実している企業も増えており、未経験者にとっては強い追い風となっているのです。
また、未経験からでも資格を取得することでキャリアアップの道も開けるため、経験者を含めて一人ひとりが平等に出世のチャンスをもっています。
こういったことから、施工管理は未経験からはじめる仕事に向いていると言えるでしょう。
施工管理はやめとけと言う人もいる
施工管理は将来性のある仕事ですが、中にはキツイというイメージから「やめとけ」と言う人もいます。
先ほども紹介した通り、働き方改革の推進により労働環境は改善されつつありますが、まだ環境の整備が終わっていない企業も一定数存在します。
そのため、施工管理として転職する際は、働き方改革を推進している企業や、労働環境が整備されている企業を選ぶことが大切です。
「企業の選び方が分からない」という人は、建設業界や企業を熟知している転職エージェントに相談することをおすすめします。またそれ以前に、自分が施工管理に向いているかどうかを把握しておくことも重要です。
施工管理に向いている人の特徴
施工管理に向いている人の特徴は次の通りです。
- 人と話すのが好き
- コツコツと続けられる
- 気配りができる
以下を確認し、自分自身が施工管理に向いているかどうかを把握しておきましょう。
1.人と話すのが好き
人と話すのが好きな人は施工管理に向いています。施工管理は、作業員、職人、施工主など、さまざまな人とコミュニケーションをとる仕事であるためです。とくに、年齢や立場に関係なくコミュニケーションがとれる人は施工管理に向いています。
逆に、人と話すことが苦手だったり、嫌いだったりする人には向いていない可能性が高いです。
とはいえ、コミュニケーションスキルは仕事を続ける中で自然と磨かれるため、最初から上手く話せる必要はありません。
2.コツコツと続けられる
何事もコツコツと続けられる人は施工管理に向いています。建設業の仕事は、現場で毎日コツコツとした作業を続けて完成させていくためです。
とくに未経験から施工管理をはじめる場合、最初は作業員の手伝いや雑務などがメインの仕事となるため継続力が求められます。
また、コツコツと続けられる人は、施工管理として仕事をするうえで重要な資格勉強にも向いているため、キャリアアップもしやすいです。
3.気配りができる
気配りができる人も施工管理に向いています。気配りができる人は、現場のちょっとした異変や些細なトラブルなどに素早く気付けるためです。現場ではちょっとした違和感が大きな事故やトラブルにつながるため、この能力はとても重要視されます。
また、さまざまな立場の人とコミュニケーションをとる必要がある施工管理は、常にまわりへの気配りが求められます。そのため、気配りや配慮ができる人であれば、仕事をスムーズに進めることができるでしょう。
まとめ
本記事では「施工管理の現状と将来性」「施工管理を仕事にするメリット」などを紹介しました。
施工管理は下記の理由から将来性があると言えます。
- 建設の需要が年々拡大している
- 働き方改革により労働環境の改善が進んでいる
- 未経験者のための研修制度や待遇が改善も進んでいる
しかし、建設業に属するすべての企業に将来性があるとは限らないため、これから就職や転職を検討している人は、建設業界に詳しい転職エージェントに相談するなどして、慎重に準備を進めていくことが大切です。
百田 遼太郎