中卒でも施工管理技士の資格を取得することは可能です。しかし、取得には条件やルールがあるため、事前に把握しておくことが重要になります。
そこで本記事では、中卒で取得できる施工管理の資格と、具体的な勉強方法を紹介します。
中卒として施工管理のキャリアを積んでいきたい人はぜひ参考にしてください。
【中卒】施工管理の資格と取り方
中卒でも取得できる施工管理の資格は次の通りです。
- 2級施工管理技士
- 1級施工管理技士
以下では、上記2つの資格の特徴と取得方法を紹介します。
2級施工管理技士
2級施工管理技士を取得することで、建設現場などにける主任技術者として仕事に従事できます。主任技術者になることで仕事の幅が広がるため、やりがいやスキルアップなどにつながります。スキルアップすれば転職が有利になるため、年収もアップするでしょう。また、企業によっては資格手当が付与されることもあります。
そんな2級施工管理技士は、一次試験と二次試験に合格することで取得が可能です。ただし中卒の場合、一次試験の受験資格として満17歳以上であることが求められます。さらに二次試験の受験資格として中卒の場合は8年以上の実務経験が必要となります。
ちなみに高卒の場合だと4年6カ月、大卒の場合だと1年6カ月の実務経験が必要です。
また、二次試験を受ける際に必要な実務経験は、取得したい資格によって細かく内容が決まっています。たとえば、土木の施工管理技士である「土木施工管理技士」を取得する場合は、管工事の実務経験を積んだとしても、土木工事に関係しないとして受験資格で必要な実務経験に加算することができません。
このように、中卒で2級施工管理技士を取得するためには、実務経験や定められたスキルが必要になります。
1級施工管理技士
1級施工管理技士を取得することで、監理技術者として仕事に従事できるようになります。監理技術者とは、請負代金の総額が4,500万円以上になる場合に専任として配置される技術者です。つまり、1級を取得すれば大規模な建設現場の長として仕事を任されるということです。
大規模な工事現場で施工管理技士として働くことで、更なるスキルアップにつながることはもちろん、年収も大きくアップします。
そんな1級施工管理技士の資格は中卒でも取得が可能です。ただし、受験資格として15年の実務経験が必要になります。
たとえば、17歳で建設業界の企業に入社した場合、1級施工管理技士の受験資格を得られるのは32歳です。もちろん2級と同様に資格と関係のない現場での実務経験は加算されません。
ちなみに、1級施工管理技士を受ける場合、高卒は11年6カ月、大卒の場合は4年6カ月(指定学科の場合は3年)の実務経験が必要となります。
施工管理技士の実務経験はごまかせる?
施工管理技士の資格を取得するために実務経験をごまかすのは避けましょう。ごまかしたことがバレると資格が取り消しになる可能性があるためです。またごまかしていたことがバレれば会社から何かしらのペナルティを与えられることもあります。
中には、本当に実務経験を積んでいたのにも関わらず、所属していた会社が証明をしてくれなかったという場合もあるでしょう。しかし、実務経験をごまかすことはリスクが伴うため避けることをおすすめします。
また、実務経験の証明をしてくれる会社かどうかを事前に見極めることも大切です。そういった点が不安な場合は、企業の内情に詳しい転職エージェントに相談しながら企業選びを行うとよいでしょう。
施工管理技士の勉強方法
中卒でも正しい手順を踏めば施工管理技士の試験に合格することは十分に可能です。
「あまり勉強に自信がない」「勉強の手順がそもそも分からない」という人は次の手順を参考にしてください。
- 分野の優先順位を把握する
- 第一次試験(学科試験)は書いて覚える
- 各分野を順繰りに勉強する
勉強の手順について、ステップごとに分かりやすく解説します。
1.分野の優先順位を把握する
一次試験の試験項目は、一般土木、専門土木、法規、共通工学・施工管理です。やみくもに勉強をはじめず、次のような優先順位をもっておきましょう。
- 一般土木
- 法規
- 共通工学
- 施工管理
- 専門土木
また、1級・2級どちらにも言えますが、専門土木系の分野は出題数に対して回答数が少ないため、試験勉強の最後に余裕があれば勉強するくらいで問題ありません。
2.第一次試験(学科試験)は書いて覚える
過去問を眺めるだけでは記憶に残りづらいため、ひたすらノートに書いて覚えましょう。見るのと書くのとでは記憶の定着率が10倍ほど違うとされています。
たとえば一次試験でよくある「次の4つの記述のうち適当なものはどれか」という問題の場合、適当ではない(間違った回答)が3つあるということになります。このパターンの場合は、適当ではない回答の下に正しい回答を書くことで内容を記憶してください。
この勉強方法を続けることで、正しい回答を効率よく記憶できます。
3.各分野を順繰りに勉強する
先ほど紹介した優先順位を参考に、各分野の過去問を3年分、2回か3回解きます。次に、5年分の過去問を1回か2回解きましょう。
このローテーションを続けて正解率80%まで達するようになれば一次試験は合格できます。
勉強時間に関しては個人の能力により異なりますが、1日に2時間の勉強を、週に3~4回すれば、勉強が苦手な人でも合格できるでしょう。
施工管理技士の資格を取得するメリット
施工管理技士の資格を取得するメリットは次の通りです。
- 専任技術者に従事できる
- 主任技術者や監理技術者
- 年収アップやキャリアアップになる
施工管理技士の資格は、勉強に時間を費やすほどの価値があるのでしょうか。以下で紹介するメリットを見て判断しましょう。
1.専任技術者に従事できる
施工管理技士の資格を取得することで、専任技術者に従事できます。
建設業を営む場合は、営業所に専任技術者を配置する義務があるため、専任技術者は常に一定以上にニーズがあります。
また、2級施工管理技士の場合は、一般建設業の許可において専任技術者となることができ、1級施工管理技士の場合は、大規模な工事を行える特定建設業の許可においても専任技術者になることが可能です。
いずれにしても専任技術者のニーズは高いため、仕事に困る可能性はほとんどないと言えるでしょう。
2.主任技術者や監理技術者
建設業者は施工する現場に、主任技術者、もしくは監理技術者を配置する義務があります。
2級施工管理技士を取得すれば主任技術者に、1級施工管理技士を取得すれば監理技術者になることが可能です。いずれも建設現場では重宝される存在であるため、常に企業からのニーズがあります。
とくに大規模な工事を行う際に必須となる監理技術者は、大手ゼネコンからのニーズもあり、幅広い分野で活躍することが可能です。
3.年収アップやキャリアアップになる
前述の通り、主任技術者や監理技術者は、建設現場に必須の存在であるため、多くの企業からニーズがあります。転職の際に、施工管理技士の資格をもっていれば非常に有利になるでしょう。
面接の際に交渉をすれば、前職より高い年収を支払ってもらえる可能性もあります。
また、資格の取得によって仕事の幅が広がり、キャリアアップにもつながるため、自身のモチベーションも上がります。
こういった理由から、施工管理を続けるにあたり、資格の取得は必要不可欠であると言えるでしょう。
まとめ
本記事では「中卒でとれる施工管理の資格」「資格の勉強方法」などを紹介しました。
中卒であっても施工管理技士の資格を取得することは十分に可能です。ただし、受験資格として2級で8年以上、1級で15年以上の実務経験が必要となります。
したがって、中卒で施工管理技士の資格を取得するためにはまず、企業に入社して実務経験を積まなければなりません。
今の自分に合った企業の選び方が分からない人は、転職エージェントなどに相談してみるとよいでしょう。
百田 遼太郎