施工管理は、資格やスキルを取得することで良いキャリアプランを築くことが可能です。
そこで本記事では、キャリアアップをするうえで必要不可欠な資格とスキルを紹介します。良いキャリアプランを構築し、将来に不安のない安定した生活をしたいという人はぜひ参考にしてください。
まずは「なぜ施工管理技士の資格が役立つのか」という点を見てみましょう。
施工管理技士の資格がキャリアプランに役立つ理由
施工管理技士の資格がキャリアプランを設計するうえで役立つ理由は下記の通りです。
- 昇進や転職に役立つ
- 仕事の幅が広がる
- 60歳でもキャリアが安定
施工管理技士の資格を取得してキャリアアップしたい人はぜひ参考にしてください。
昇進や転職に役立つ
施工管理技士の資格を取得することで昇進や転職に役立ちます。施工管理技士の資格は、建設業だけにとどまらず建築設計、独立行政法人など幅広く活躍できるため、キャリアプランを柔軟に変化させることも可能です。
1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士はどちらも需要が高いですが、とくに1級を所持する人材が不足しているため、取得すれば活躍の幅はさらに広がるでしょう。また企業によっては資格手当がつくため年収アップにもなります。
さらに、一般職であれば高年齢であるほど職の幅は狭くなりますが、1級建築施工管理技士の取得者は高年齢でも待遇の良い企業に就職することが可能です。
仕事の幅が広がる
施工管理技士の資格を取得することで仕事の幅が広がります。仕事の幅が広がると選ばれる求人も増えるため、良いキャリアプランを構築できるようになるでしょう。
たとえば、2級施工管理技士は主任技術者、1級施工管理技士であれば主任技術者に加えて監理技術者として仕事ができるようになります。
とくに1級施工管理技士は保有しているだけで「豊富なスキルと知識をもっている人材」と認識されるため市場価値が一気に高まります。
主任技術者や監理技術者といったポジションは責任感の重い仕事ですが、高い達成感とやりがいをもって仕事できるでしょう。
60歳でもキャリアが安定
施工管理技士の資格を取得していれば、60歳を超えても年収を落とさずに仕事ができます。
60代になるとどうしても20代や30代より体力が衰えるため、作業面でのバックアップが難しくなります。しかし、長いキャリアの中で身に付けた経験とスキルがあれば、施工管理として十分に貢献することが可能です。
とくに、安全管理や品質管理といった重要な仕事は豊富な経験が求められるため、社内はもちろん発注先の企業からも頼られます。
また、施工管理技士の資格は、正社員や契約社員としてだけでなく、個人事業主として仕事をする際にも役立ちます。「将来は一人で仕事ができるようになりたい」という人は、資格を取得し、施工管理技士としてのキャリアを積んでいくとよいでしょう。
施工管理のキャリアアップに役立つ資格
施工管理のキャリアアップに役立つ資格は下記の通りです。
- 2級施工管理技士
- 1級施工管理技士
- 測量士
2級施工管理技士
施工管理としてのキャリアプランを構築するうえで必要不可欠なのが2級施工管理技士です。
2級施工管理技士を取得することで、一連の工事を管理・監督する技術が認められたことになるため、活躍の幅が一気に広がります。
たとえば、一般建設業の営業所ごとに最低一人は必要な「専任の技術者」として従事できるようになります。
活躍の幅を広げることでキャリアアップはもちろん、自分にマッチする企業選びもしやすくなるでしょう。
1級施工管理技士
1級施工管理技士を取得することで、2級施工管理技士にはなれない「外注総額が4,000万円以上の大規模な工事現場」の監理技術者になることが可能です。
大規模な工事現場で仕事をすることで一般職では得られないやりがいや達成感を実感できるでしょう。
また、1級施工管理技士を取得することで労働安全コンサルタントと社会保険労務士の受験資格を得られます。資格を増やすことで企業の選択肢も大幅に増えるでしょう。
測量士
測量士とは、工事をする土地を測量する際に役立つ資格です。測量士の資格を取得することで、現場の測量図を深く理解できるようになるため、工事の指示や管理をより的確にできるようになります。
また、測量士は建物、インフラなど、どこで工事をする場合でも不可欠なため、幅広い場面で役立てることが可能です。そのため、施工管理として働く場合でも「専門性の高い知識とスキルをもった人材」として重宝されます。
施工管理技士のキャリアアップで求められるスキル3選
施工管理技士としてキャリアアップするうえで求められるスキルは次の通りです。
- スケジュール管理力
- 継続力
- トラブル対応力
1.スケジュール管理力
スケジュール管理力を付けることで、建物やインフラの建設をスムーズに進められるようになります。工期内に建設物を完成させることは施工管理技士として優秀である証になるため、多くの企業から求められる人材になれるでしょう。
逆にスケジュール管理力がないと、工期に間に合わないことが多くなるため、社内や発注先からの信頼を失い、キャリアアップしづらくなります。
2.継続力
施工管理の仕事は、現場を統括する花形的な職業である一方、書類作業やルーティンワークといった地味な仕事も多いです。そういった仕事を毎日のように続けられる継続力があれば、周りからも評価されるため、キャリアプランに良い影響を与えます。
とくに未経験から施工管理をはじめる場合は、書類作成や現場の手伝いといった地味な作業が多くなるため、継続力が求められるでしょう。
3.トラブル対応力
現場では、近隣住民からの苦情や天候の悪化など、さまざまなトラブルが起きます。施工管理は、いつどのタイミングで起きるか分からないトラブルへの対応力が求められます。
トラブル対応力が低いと建設物の完成に遅れが出やすくなり、社内や発注者からの信頼が得られなくなるため、キャリアアップしづらくなるでしょう。
このように、施工管理としてキャリアアップするためには、さまざまなスキルが求められるため、誰でも簡単にキャリアアップできるわけではありません。
とはいえ、こういったスキルは実務経験を積むことで自然と身に付けることが可能です。任された仕事を一生懸命こなしていればキャリアアップにつながるでしょう。
【施工管理】学歴別のキャリアプラン
以下では、学歴別のプランを中卒、高卒、大卒に分けて紹介します。
中卒のキャリアプラン
中卒(高校中退)でも施工管理になることは可能です。ただし、2級施工管理技士における一次試験の受験資格が満17以上であるため、卒業後すぐに試験を受けることができません。
そのため、17歳になるまで試験勉強をしておき、17歳になる年に一次試験を受けるとよいです。
一次試験の合格後に受けられる二次試験(最終試験)は、8年以上の実務経験が必要になるため、企業に属して現場で仕事をしなければなりません。
したがって、中卒の場合は、ひとまず入社して現場での経験を積みながら勉強し、施工管理技士の資格取得を目指すのがよいと言えるでしょう。
高卒のキャリアプラン
高卒の場合、17歳以上であればすぐに2級施工管理技士の一次試験を受けられます。二次試験は、中卒より3年以上みじかい4年6カ月で受けることが可能です。
1級施工管理技士の場合は、指定学科を卒業しているか、現場でどういった経験を積んできたかによって異なるため、詳しくは、高卒で施工管理になる方法について解説している記事をご確認ください。
高卒の場合は、大学の指定学科に入学して早めに受験資格を得ることも可能なため、大学入学を慎重に検討することも大切です。
大卒のキャリアプラン
2級施工管理技士の受験資格は満17歳以上であるため、大卒の場合はすぐにでも一次試験を受けられます。しかし、二次試験を受けるためには、1年6カ月の実務経験が必要です。
大卒は、中卒や高卒と比べて必要な実務経験が少ないため、キャリアプランを築きやすいという特徴があります。また年収も中卒・高卒より高い傾向にあるため、大学を卒業して施工管理を目指す人は多いです。
まとめ
本記事では、施工管理のキャリアアップに必要なスキルや資格などを紹介しました。
施工管理は中卒や高卒でも十分な実務経験を積めばキャリアアップをすることが可能です。また、本記事で紹介したスキルや資格を取得して市場価値を高めて待遇の良い企業に入社すれば年収も上がります。
このように施工管理は「資格やスキルの取得をすることで良いキャリアプランを築ける」という分かりやすい構造になっています。資格とスキルは業務経験を積むことで自然と取得することが可能です。
したがって、これから施工管理としてキャリアアップを重ねていきたい人は、質の高い実務経験が積める企業に入社し、資格の取得を目指しましょう。
百田 遼太郎