建設業界が直面する人手不足や高齢化、若者の業界離れといった問題に対する解決策として「新3K」が注目されています。
今回は、 建設業の新3Kについて、従来の3Kとの違いや国土交通省の取り組みなどを紹介します。
建設業の新3Kとは？
新3Kとは、建設業界で新たに注目されている「給与、休暇、希望」の3つの要素を指します。
この新3Kは、従来の「危険、汚れ、きつい」といった3Kとは一線を画し、より働きやすい環境の実現に焦点を当てています。
特に、新3Kが重要視される背景には、働き手が求める「働きがい」や「生活の質」の向上があります。給与の適正化、休暇制度の充実、そして働き手の希望に応じた仕事の提供は、業界全体の持続可能性に寄与するとともに、新たな人材を引き込む鍵となる要素です。
新3Kは単なるスローガンではなく、建設業界の未来を形作る重要な指標です。
そのため、業界関係者や政府機関は、新3Kに基づいた施策や取り組みを積極的に推進しています。
従来の「3K」と「新3K」の違い
従来の「3K」は「危険（Kiken）、汚い（Kitanai）、きつい（Kitsui）」と称され、建設業界の厳しい労働環境を象徴しており、その中でも特に危険な作業環境や長時間労働、低賃金が問題視されていました。
一方で、新3Kは「給与（Kyuuyo）、休暇（Kyuuka）、希望（Kibou）」とされ、働き手にとってより魅力的な要素です。
- 給与：賃金の適正化や福利厚生の充実
- 休暇：有給休暇の取得率向上やワークライフバランスの考慮
- 希望：キャリアパスの多様化や働き手の意見を反映した職場作り
このように、従来の3Kと新3Kは、働き手が求める価値観や業界の課題に対するアプローチが大きく異なります。
新3Kは、より人間らしい働き方や働き手の満足度を高める方向での取り組みが進められているといえるでしょう。
建設業界で新3Kが注目される背景
建設業界で新3Kが注目される背景には、高齢化と若者の業界離れがあります。
高齢化によって経験豊富な現場作業員が減少している一方で、若者は厳しい労働環境や低賃金、キャリアパスの不明確さなどにより建設業界から離れてしまっています。
このような状況を解決するために、新3Kの概念が導入されました。新3Kは「給与、休暇、希望」に焦点を当て、これらの要素を改善することで、業界全体の魅力を高めようという試みです。
高齢化と若者の業界離れは、建設業界にとって深刻な問題ですが、新3Kの取り組みによって、これらの問題に対する新しい解決策が生まれつつあります。そのため、新3Kは今後ますます注目されるキーワードとなるでしょう。
【新3K】国土交通省の取り組み
国土交通省は、新3Kに対する具体的な施策を多数推進しています。特に、「給与、休暇、希望」の3つの要素に対して、様々な取り組みが行われています。
給与
日建連による「労務費見積り尊重宣言」促進モデル工事が進められています。
下請企業からの労務費見積を尊重する企業を、総合評価や成績評定において優位に評価するというものです。
また、建設キャリアアップシステム（CCUS）義務化モデル工事も推進しています。
建設キャリアアップシステム（CCUS）とは、技能者が、技能・経験に応じて適切に処遇される建設業を目指して、技能者の資格や現場での就業履歴等を登録・蓄積し、能力評価につなげる仕組みです。
国土交通省直轄工事においてはCCUS活用の目標の達成状況に応じて、成績評定を加減点するモデル工事などの取引を実施しています。
このような取り組みにより、建設業界で働く人々がより公平で適正な報酬を受けられる環境が整ってきています。これは、業界全体の競争力を高めるだけでなく、新たな人材を引き込むための重要なステップとも言えるでしょう。
休暇
国土交通省直轄工事では、週休2日を確保できるよう、適正な工期設定や経費補正を実施しています。
具体的には、全体工期に含むべき日数・期間として、余裕期間、準備・後片付け期間、工期設定支援システムの活用、工期設定の条件明示等を実施し、適切な日数を設定しています。
これにより、今後建設業界のワークライフバランスが向上することが期待されています。
希望
希望に関する取り組みとして、国土交通省はi-Constructionを推進しています。
i-Constructionとは、ICT技術を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取組です。
これにより安全かつ効率的に業務を行えるでしょう。
まとめ
今回は、 建設業の新3Kについて、従来の3Kとの違いや国土交通省の取り組みなどを紹介しました。
国土交通省をはじめとする関係機関が積極的に取り組んでいることから、新3Kの重要性は日に日に高まっています。
新3Kによって建設業界はより多くの人材を引き込み、持続可能な成長を遂げるでしょう。
百田 遼太郎