派遣の施工管理が「やめとけ」と言われるのはどういった点に原因があるのでしょうか。
本記事では、派遣の施工管理の実態と、やめとけと言われる理由について解説します。
派遣の施工管理として働くことのメリットとデメリットを理解し、自分に合ったベストな働き方を見つけましょう。
「派遣の施工管理はやめとけ」と言われる理由3選
「派遣の施工管理はやめとけ」と言われる理由は次のような点にあります。
- 業務過多になりやすい
- 労働時間が多い
- 景気に左右されやすい
1.業務過多になりやすい
施工管理は、若手の人材不足が続いていることもあり、業務過多になりやすいです。
実際、厚生労働省が発表したデータによると「不足している」「やや不足している」と回答した人は全体の71%だったことが分かっています。
こういった状況から施工管理は業務過多になりやすく「やめとけ」と言われることが多いです。
【参考】令和2年度調査「建設業における雇用管理現状把握 実態調査報告書」-厚生労働省
2.労働時間が多い
施工管理の派遣は、労働時間が多いことから「やめとけ」と言われることもあります。
しかし、厚生労働省の調査によると建築・建設業界の労働者の1日あたりの労働時間は、次のようになっています。
- 7時間~8時間→48.8%
- 1カ月の平均残業時間が45時間未満→89.0%
こういった結果から、労働時間が極端に長いとは言えません。
なお、2016年の年間総実労働時間は、他産業と比べて300時間以上多かったことから「一昔前の労働時間は長かったものの、現在の労働時間はそこまで長くない」とも言えるでしょう。
【参考】毎月勤労統計調査地方調査-厚生労働省、令和2年度調査「建設業における雇用管理現状把握 実態調査報告書」-厚生労働省
3.景気に左右されやすい
建設業は、基本的に多くの予算が必要となるため、景気に左右されやすい側面があります。
戸建の建設に関わる場合も、景気が悪いことで仕事が少なくなることも考えられるでしょう。
しかし、現在は景気が上向いており、今後しばらくは建設ラッシュが続くと予測されています。また、高速道路やダムといった大型建物の老朽化が進んでいることも、施工管理の需要を引き上げています。
さらに日本は災害が多い国であるため、復旧や復興といった工事の需要が常に高いです。
したがって、施工管理は景気に左右されやすい面がありながらも、常に需要がある仕事であると言えるでしょう。
派遣の施工管理で働くメリット3選
派遣の施工管理で働くメリットは次の通りです。
- 「派遣=非正社員」ではない
- サービス残業がない
- 楽な気持ちで働ける
1.「派遣=非正社員」ではない
必ずしも「派遣=非正社員」ではない点に留意しておきましょう。とくに施工管理でいう派遣は「派遣元の正社員」という認識が一般的です。
そのため、通常の派遣でも正社員と同じように社会保険への加入ができ、福利厚生も利用できます。もちろん非正社員の派遣会社もあるため、転職する際は事前に確認しておくことが大切です。
また派遣で仕事を探す場合、求人サイトやハローワークなどに掲載されていない非公開求人の紹介を受けられることもあります。中には大手ゼネコンが担当する現場もあるため「経験を積むために大手の現場で働きたい」という人におすすめです。
2.サービス残業がない
派遣社員は、派遣元と派遣先の企業が契約を交わしているため、サービス残業がありません。派遣社員にサービス残業や休日出勤を強要すると契約違反になってしまうためです。
ちなみに、派遣ではなく一社専属で働く施工管理も、2024年4月から残業の上限規制が適用されるため、サービス残業は少なくなります。
3.楽な気持ちで働ける
派遣の施工管理は楽な気持ちで働けます。通常の正社員でありがちな業務以外の付き合いなどが少なくなるためです。
業務以外の時間とは、下記のようなことをした際に生じる時間を指します。
- 組合活動への参加
- 会社の飲み会への参加
- 社内の人間関係や付き合い
派遣社員の場合は、こういった付き合いに参加する必要がないため楽な気持ちで働けます。
また、派遣社員として働くと現場がその都度変わるため、人脈が広がりやすいというメリットもあります。
縁あって良い人脈ができれば、今後のキャリアに良い影響をもたらしてくれるでしょう。
派遣の施工管理に向いている人と向いていないの特徴
以下では、派遣の施工管理に向いている人と向いていない人の特徴を紹介します。
「派遣と正社員どちらで働こうか迷っている」という人は、ぜひ参考にしてください。
派遣の施工管理に向いている人
派遣の施工管理に向いている人の特徴は次の通りです。
- サービス残業を絶対にしたくない
- 飲み会や社内での付き合いを最低限に抑えたい
- 派遣の施工管理になることができればそれ以上のキャリアアップを望まない
前述の通り、派遣の施工管理は一社の専属ではないため、人とのコミュニケーションを最低限に抑えることが可能です。また派遣元との契約があるため、サービス残業を強いられることもありません。
派遣の施工管理に向いていない人
派遣の施工管理に向いていない人の特徴は次の通りです。
- 施工管理としての経験が豊富にある
- 将来に向けてキャリアアップしていきたい
- 福利厚生や各種手当など手厚い待遇を受けたい
施工管理としての経験が豊富にある人は、派遣として業務をする必要性が低いため、あまりおすすめしません。
また、派遣元の社員として働く場合は、福利厚生や各種手当てなど、良い待遇で働ける場合もありますが、やはり一社専属の正社員として働く人には劣ります。
よって、派遣として働くのは、経験の豊富な人よりも未経験の人のほうが向いていると言えるでしょう。
派遣の施工管理の将来性
派遣の施工管理の将来性はあるとも無いとも言えます。
施工管理の仕事自体は、働き方改革の導入や、建設業の需要の高さなどから、将来性はあると言えるでしょう。実際、国土交通省が公表している「建設投資(建設業界の規模を表す数値)」は右肩上がりに推移していることが分かります。
今後も、大型建物の復旧工事や、駅前の再開発、大阪万博の開催など、建設工事の需要はより一層高まることが予想されています。
まとめ
本記事では「派遣の施工管理で働くメリットとデメリット」「派遣の施工管理に向いている人と向いていない人」などを紹介しました。
派遣の施工管理は、派遣元の企業に守られているため、サービス残業や休日出勤などを抑えられるというメリットがあります。一方で、キャリアアップがしづらい、福利厚生が正社員より劣る、といったデメリットがあることも事実です。
よって、派遣と正社員どちらで働くべきかは、その人の状況やキャリアプランによって異なると言えるでしょう。
「自分に合った働き方が分からない…」という人は、キャリア設計や建設業界について詳しく把握している転職エージェントなどに相談してみるとよいでしょう。
百田 遼太郎