建設業界でよく聞く「ゼネコン」ですが、施工管理とはどういった関わりがあるのでしょうか。
本記事では、大手ゼネコンでの施工管理の仕事内容に加え、大手ゼネコンの特徴やゼネコンで働くメリット・デメリットなどを解説します。
ゼネコンへの入社を目指している人や、ゼネコンの仕事に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
大手ゼネコンでの施工管理の仕事
そもそもゼネコンとは、大規模工事を中心に元請けする業者を指します。
ゼネコンは、元請け企業としてプロジェクトの計画や監理などを一手に担いますが、規模が大きい分、業務量も膨大になるため下請け業者に仕事を割り振るケースがほとんどです。
そんな大手ゼネコンで働く施工管理の仕事は、下請けの作業員や職人などが効率的に働くための準備や監理です。また、発注する下請け業者が得意とする業務や現場などを把握し、適材適所な配置設定をおこなうのも施工管理の仕事となります。
大手ゼネコンの施工管理が担当するその他の仕事は次の通りです。
- 重機の手配
- 工期が遅れそうになった際のカバーリング
- 工事全体を俯瞰してのスケジュール調整
ゼネコンの施工管理は、複数社の下請けをまとめ上げることが重要視されるため、多方面で発生するトラブルや業務に対応できるマルチタスク力が求められます。
ゼネコンとハウスメーカーの違い
ゼネコンとハウスメーカーの違いは、工事規模やクライアントにあります。
たとえば、ゼネコンは国や地方公共団体、大企業といったクライアントから、大規模な工事を請け負います。
一方のハウスメーカーは、個人に向けて住宅の建設や販売などをおこなうことが一般的です。
ゼネコンが請け負う建設工場は、道路、市役所、大型商業施設など、多岐にわたりますが、ハウスメーカーは住宅のみとなります。
したがって、ゼネコン仕事内容や工事規模が大きく異なると言えるのです。
大手ゼネコンの特徴3選
大手ゼネコンの特徴は次の通りです。
- 大規模な工事に関われる
- 勤務地の範囲が広い
- 年収が高い
1.大規模な工事に関われる
大手ゼネコンに勤めることで大規模な工事に関われます。
一般的な施工管理は、3,000~5,000万円程度のプロジェクトを担当しますが、大手ゼネコンの場合は50~100億円規模のプロジェクトを担当することが可能です。
大規模な工事に関わった経験は、スキルの向上やキャリアの構築にもつながるため、今後の転職が有利になったり、年収がアップしたりなどのメリットがあります。
2.勤務地の範囲が広い
大手ゼネコンの勤務地は範囲が広いです。日本の各地はもちろん、海外で業務することもあります。
たとえば、土木施工管理の場合は、地方のダムや橋梁工事などを担当することが多く、建設施工管理の場合は、駅前の再開発や大規模施設などを担当します。
また、どの分野になってもプロジェクト規模が大きいため、地方の場合は2~3年ほど現場の近くに滞在するケースが多いです。企業によっても異なりますが、基本的には長期休暇時にのみ帰省します。
3.年収が高い
大手ゼネコンは年収が高いことでも知られています。
大手ゼネコンの平均年収は以下の通りです。
会社名 | 平均年収 |
鹿島建設 | 1,133万円 |
大林組 | 1,057万円 |
清水建設 | 1,006万円 |
長谷工コーポレーション | 939万円 |
前田建設工業 | 927万円 |
なお、いずれの企業も平均年齢は40~45歳であることから、十分に経験を積んだ人が施工管理として活躍していると考えられます。
よって、一足飛びで大手ゼネコンに転職するのは難しいと考えられるため、まずは中小企業などで十分な経験を積むことが大切です。
【施工管理】ゼネコンの年収相場
先ほど紹介した大手ゼネコンの平均年収は、1,012万円です。大手ゼネコンの平均年収は最低でも900万円を超えるため、ゼネコン自体の平均年収は900~1,000万円と考えてよいでしょう。
令和3年に厚生労働省が公表した日本の平均年収は、307万円であるため、ゼネコンの年収相場は非常に高いと言えます。
【参考】一般労働者の賃金-厚生労働省
【施工管理】ゼネコンの1日のスケジュール
ゼネコンに勤めた場合のスケジュールは次のようになります。
時間 | 仕事 | 内容 |
8時~ | 出勤・朝礼準備 | 朝礼ではその日一緒に作業する人たちに集まってもらい、安全への配慮義務や危険事項などの説明を行います。基本的に現場は8時から始まりますが、早朝に工事音を立てられない現場の場合、9時に出勤することもあります。 |
8時30分~12時 | 現場の見回り | 危険や進捗をチェックしながら現場の各所を見回ります。困っていることがないかを聞いてまわることもあれば、その場でお手伝いを求められることもあります。ゼネコンの場合は、規模が大きく作業員の数も多いため、見回りだけで午前中の業務を終える日も少なくありません。 |
12時~13時 | お昼休憩 | 現場で一斉に休憩をとります。休憩の時間は、職人とコミュニケーションをとるチャンスでもあるため、円滑に業務を進めたい場合は積極的に話しかけます。 |
13時~17時 | 午前の続き | 現場での見回りを再開します。午前中に頼まれていたことに対応しながらになるため、それだけで午後の仕事が終わることも多いです。 |
17時~ | 事務所でのデスクワーク | 現場の作業員や職人は仕事を終えますが、施工管理はこの時間から事務作業に入ります。主に進捗スケジュールの調整、各種書類の作成などを行います。 |
18時~ | 終業 | 現場や時期によって終業時間は異なりますが、基本的には18時前後に業務を終えます。 |
このように施工管理は日々、過密なスケジュールをこなします。ゼネコンは現場の規模が大きい分、コミュニケーションや仕事量の面で大変だと感じることは多いでしょう。
とはいえ、業務内容がほぼ同じであるため、一般的な施工管理と大きな違いはないと思ってよいです。
大手ゼネコンで働くメリット・デメリット
以下では大手ゼネコンで働くメリットとデメリットを紹介します。
メリット
大手ゼネコンで働くもっとも大きなメリットは、大企業や国が発注する大規模な工事に関われることです。大規模な工事に関わることで施工管理として質の高い経験値を積めるうえに、相応の高収入を得られます。
また、最新の工法やシステムなどを使用できる機会も多くなるでしょう。ただ最新のものを扱う立場であることから常にアンテナを立てておく大変さはあります。
しかし、技術者として最新の工法を確立させていく立場に立てることは、大変名誉なことだと言えるでしょう。
デメリット
一方、大手ゼネコンで働くデメリットとして挙げられるのは、出張や転勤が多いということです。大手ゼネコンは、全国各地に営業拠点があるため、絶対数が少ない施工管理技士は出張が多くなりやすい傾向にあります。
また、大手ゼネコンが抱えるプロジェクトは大型のものが多いため、2~3年の長期出張になるケースも多いです。さらに大手ゼネコンの中には、海外転勤を言い渡されることもあります。
とはいえ、出張や転勤は、昇進につながる可能性が高いため、一概にデメリットであるとも言えません。むしろ豊富な経験を積めるという意味ではメリットとも捉えられます。
まとめ
本記事では「大手ゼネコンの特徴」「大手ゼネコンの年収相場」などを紹介しました。
ゼネコンとは、国や大企業が発注する大規模な工事の元請けとなる企業です。ゼネコンで施工管理として働くことで、大規模工事に携われたという経験とそれに見合った高収入を得られます。
またゼネコンは収入面の良さから、建設業界で勤めている多くの人が目指しているゴールのような存在であるとも言えるでしょう。
そんなゼネコンへの転職を見越したキャリアプランを構築したい人は、キャリアについて詳しい転職エージェントに相談することをおすすめします。
転職エージェントに相談することで、今の自分の立場でゼネコンへ転職する最短のキャリアパスを設計してくれるでしょう。
百田 遼太郎