施工管理は、仕事の幅広さや責任感の強さから「やめとけ」と言われることが多い職業です。
しかし近年では国が推進する働き方改革により、職場環境が大きく変化しています。
本記事では、これまで「施工管理はやめとけ」と言われてきた理由に加え、近年のリアルな職場環境を紹介します。
施工管理を目指すかどうかの判断材料を得たい人はぜひチェックしてみてください。
施工管理がやめとけと言われる5つの理由
「施工管理はやめとけ」と言われる理由は次の通りです。
- 残業時間が多い
- 休日出勤
- 現場の危険性
- 体力が必要
- コミュニケーション能力が求められる
1.残業時間が多い
施工管理は、残業時間が多いことから「やめとけ」と言われることもあります。
実際、国交省が公表したデータによると、全産業の平均年間労働時間が1720時間であるのに対し、建設業は2056時間と、平均より336時間多いです。
しかしこれは2016年度に公表されたデータであり、現在は時間外労働の上限規制(罰則付き)の運用がはじまるため労働時間は改善傾向にあります。
よって「残業時間が多い」というのはひと昔前のイメージだと言えるでしょう。詳しくは。施工管理の残業時間の有無や理由について解説している記事をご参考ください。
2.休日出勤
施工管理は、残業時間の多さに加えて休日出勤も多いことから「やめとけ」と言われることもあるようです。
しかし残業時間と同様に休日出勤も国が推進している働き方改革によって改善されています。もちろん、まだ休日出勤を強いる企業はありますが、罰則付きの上限規制が策定されたため、今後はどんどん減っていくでしょう。
「実際のところ施工管理はどれくらい休んでるの?」という疑問を解消したい人は、施工管理の休みについて解説している記事をご参考ください。
3.現場の危険性
施工管理として働く人は、1日のほとんどを危険と隣り合わせの現場で過ごします。その危険性の高さからやめとけいう人も多いです。
実際、厚生労働省が公表したデータによると、建設業の死亡災害発生数は全体の32.2%を占めています。そもそも大きな事故と隣り合わせの仕事が少ないというのもありますが、この数字を見てやめとけと言いたくなる気持ちも理解できるのではないでしょうか。
4.体力が必要
施工管理は、建設現場全体の管理や指示出しがメインの業務ですが、現場に出て作業員の手伝いをすることもあります。
また、現場での作業が終わり、作業員や職人が帰ったあとは事務所で資料作成を行うため「体力的にきつい」と思う人もいるでしょう。とくに日差しが強い日中の作業では大幅に体力を消費します。
とはいえ、施工管理の仕事は作業がメインではないため、作業員や職人ほど肉体労働が多いわけではありません。体力も普通か、普通以上であれば問題ないでしょう。
5.コミュニケーション能力が求められる
施工管理は、作業員、職人、大工さんに加え、発注者や近隣の住民などとコミュニケーションをとりながら、工事をスケジュール通りに進めます。
そのため、コミュニケーションを苦手とする人はやめとけと言われる可能性が高いです。
逆に、コミュニケーションを得意としている人にとっては、活躍の幅が広く、天職となる可能性もあります。とくに、これまで色々な職場で働いた経験がある人や、企業内でさまざまな部署とやり取りしてきた経験がある人は、施工管理に向いている可能性が高いです。
詳しくは施工管理に向いている人の特徴について解説している記事をご参考ください。
施工管理はやめとけと言われる人の特徴
施工管理に向いていない人は周囲からやめとけと言われやすくなります。
施工管理に向いていない人に共通するポイントは次の通りです。
- 内勤だけをしたい
- 感情が表に出やすい
- スケジュール管理が苦手
- 人とコミュニケーションを取るのが苦手
上記の特徴に当てはまる人は、施工管理にあまり向いていないかもしれません。
とはいえ、コミュニケーションやスケジュール管理などは仕事をしながら上達することが可能です。
向いているか向いていないかを明確にしたい人は、まず施工管理の仕事内容について理解を深めましょう。
辛いだけじゃない!施工管理で働くメリット3選
施工管理は辛いだけじゃありません。施工管理で働くことには以下のようなメリットがあります。
- 将来性がある
- やりがいがある
- 平均年収が高い
1.将来性がある
施工管理は、今後仕事がなくなることがないため、将来性が高いと言えます。
たとえば現在の日本にある社会インフラは高度経済成長期に作られたものが多いため、老朽化が問題視されており、相当な件数の工事が必要とされています。
2033年には、日本前項にある道路橋の63%、トンネルの42%、河川管理施設の62%が建設から50年を迎えます。これらのインフラを整備するとなると需要過多になる可能性が高いです。よって、現場に必要不可欠な施工管理の需要もさらに高まることが想定されます。
また、災害対応の工事も今後さらに増えていくため、建設業の需要はさらに高まるでしょう。
国土交通省が公表したデータによると、2010年以降には1,500件、2018年には3,459件だったことが分かっています。巨大地震が起こる可能性は年数ごとに上がっていると言われており、それに伴い建設業の需要も高まっているのです。
【参考】社会資本の老朽化の現状と将来-国土交通省、令和2年国土交通省白書-国土交通省
2.やりがいがある
施工管理は仕事量の多さから大変な仕事だと思われがちですが、他の仕事では味わえないやりがいがあります。
たとえば、先ほど紹介したインフラ整備の工事に携われば「たくさんの人の役に立っている」「社会貢献できている」という大きなやりがいを感じられます。
大勢の人々に感謝してもらえる仕事は少ないので、施工管理ならではのやりがいと言えるでしょう。
3.平均年収が高い
施工管理は、全業界の平均年収より高い傾向にあります。
また、施工管理は資格を取得したり、実務経験を積んだりすることで転職が有利になるため、キャリアアップしやすいです。
未経験からはじめると平均程度の年収になることも多いですが、コツコツと仕事をしていれば年収も自然と上がります。
詳しくは、施工管理の平均年収や年収の上げ方について解説している記事をご確認ください。
働き方改革の影響で「やめとけ」という人も減少中
近年は、働き方改革の影響で労働環境の改善が進んでいるため、やめとけと言う人も減少しています。
週休二日制の導入、夏季休暇といった休日を取り入れ、施工管理として働く人のストレス軽減になっています。
また、女性の施工管理技士が増えていることも考慮され、アメニティの充実化なども進んでいます。
とはいえ、中には働き方改革を推進していない企業もあるため「企業を見分ける自信がない」という人は、建設業や企業の内情に詳しい転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。
まとめ
本記事では施工管理がやめとけと言われる理由と近年の職場環境について紹介しました。
ひと昔前まで施工管理は、他人からやめとけと言われる仕事の対象でした。
しかし今は、国の働きかけによりホワイトな職場環境へと改善されつつあります。
また施工管理は将来性のある仕事でもあり、未経験でもチャレンジできる職業なため、興味がある人はぜひ就職を検討してみてください。
百田 遼太郎