「施工管理は残業が多い」と言われますが、残業時間が多くなるかどうかは勤め先や現場によって異なります。
本記事では、施工管理の残業時間の多さや、施工管理の残業時間が多いと言われる理由を解説します。
施工管理は残業が多い?
施工管理は基本的に残業がつきものだと思っておきましょう。施工管理の仕事は、現場の仕事だけではないためです。
しかし、勤め先や現場によって残業が月40時間程度だったり、月50時間程度だったりとバラバラです。
施工管理で働く人の残業が多い理由
施工管理で働く人の残業が多い理由は次の通りです。
- 仕事の絶対量が多い
- 現場に対して施工管理技士が少ない
- 需要に対して供給が間に合っていない
1.仕事の絶対量が多い
施工管理は現場で働く他の人たちと比べて仕事の量が多いため、残業時間が増えやすいです。
施工管理は、基本的に朝8時ごろから始まる朝礼の30~60分前に現場入りします。その後、作業員の手伝いや発注者とやり取りをし、17時ごろには現場での仕事が終わります。
作業員や大工さんが帰った後は、日中にできなかった書類作成や報告業務などを行うため、必然的に残業時間が増えるでしょう。
事務作業に慣れている人や得意な人であれば1~2時間程度の残業で終わるケースもありますが、慣れないうちは21時を過ぎるケースもあるかもしれません。
2.現場に対して施工管理技士が少ない
1つの現場に対して施工管理技士の人数が少ないことも残業時間が増える原因の一つです。
施工管理の抱える仕事が多いにも関わらず、現場に対して配置される人数が少ないのには2つの理由があります。
人材不足
団塊世代の退職、少子化などが原因となり、施工管理の母数が減っています。
IT業界などでも人材不足が深刻化していますが、建設業界の人材不足がもっとも深刻だとされています。
企業のコスト削減による人数制限
コスト削減は重要な経営課題の一つですが、行き過ぎると施工管理を過重労働させてしまう可能性があります。
そのため、就職や転職をする際は「無茶なコスト削減を行っていないか?」を確認したうえで入社することが大切です。
3.需要に対して供給が間に合っていない
近年では、東京や大阪といった首都圏を含め、名古屋や福岡などでも都市開発が急速に進んでいます。中でも東京・大阪の建設ラッシュには目を見張るものがあり、建造物が日に日に増えています。
2020年の東京オリンピックで下火になるかと思われていましたが、いまだに建設ラッシュは続いています。
こういった需要に対し、供給が間に合っていないのも施工管理の残業が増える要因です。
しかし、こういった状況は、これから施工管理を目指す人からすると求人が多いため、むしろチャンスと言えるでしょう。また、需要過多の影響から未経験でも採用されやすいため、転職を考えている人は積極的に検討してみるとよいです。
働き方改革によって労働環境が改善!
建設業では2024年4月1日から「労働時間の上限を守らない企業にペナルティーが与えられる」といった趣旨の法律が設けられます。まだ少し先だと感じるかもしれませんが、企業もすぐには現場の体制を変えられないため、少しずつ労働環境を整備しながら改善にむかっています。
また、国土交通省は「建設業働き方改革加速化プログラム」を公表し、発注に対して適切な工期を設けることや、週休2日制の導入などを強く推進しています。
さらに、施工管理の仕事を補助するための技術者を派遣し、1日あたりの労働時間や仕事量を減らすといった改革も推し進めています。
このように、建設業界、ひいては施工管理の労働環境は改善の一途をたどっています。加えて、施工管理は未経験でも働きやすい環境が整っているため、これから仕事を探す人にとっては非常に良いタイミングだと言えるでしょう。
施工管理技士が残業を減らす方法
施工管理技士が残業を減らす方法は次の通りです。
- 転職を検討する
- 派遣社員やフリーランスを視野に入れる
「残業時間はできるだけ減らしたい」と考えている人は、ぜひ以下の方法を参考にしてください。
1.転職を検討する
現状よりも良い条件を出してくれる企業に転職することで残業を減らしつつ、年収をアップできます。良い企業に入社するコツは、求人票に記載されている内容を細かくチェックし、面接などで残業時間や福利厚生についてしっかりと聞くことです。
「自分で良い企業を見つけるのが難しい」という人は、自分にとって理想的な職場環境で働いている友人の紹介で入社してもよいでしょう。とはいえ、残業が少なくて年収が高い企業へ一足飛びで転職するのは、正直なところ簡単ではありません。
そのため、もし本気で今より良い企業に転職したいと考えている人は、業界や企業の内情について詳しい転職エージェントに相談することをおすすめします。
転職エージェントは一般向けには公開されていない「非公開求人」を持っているため、自分で求人を探すよりも効率的に企業探しを行えます。
また、転職エージェントは面接の段取りや対策もしてくれるため、転職をお考えの人は一度相談してみるとよいでしょう。
2.派遣社員やフリーランスを視野に入れる
雇用形態を変え、派遣社員やフリーランスとして働くことで残業時間を減らすことも可能です。
たとえば派遣社員の場合「残業は月○○時間」といった規定が企業間で細かく決められているため、働きたい期間を自分で設定したり、業務をある程度選んだりできます。
また、フリーランスの場合は請負契約になるため、現場で指示を受けずに自分のやりたい仕事を優先しながら働くことが可能です。
このように、施工管理は雇用形態によって働き方をある程度自分で選べるため、残業時間や働く環境を変えたい人は、派遣社員やフリーランスを視野に入れてみましょう。
残業のイメージがある施工管理が人気な理由
残業のイメージが強い施工管理が人気な理由は次の通りです。
- 建設業界に将来性がある
- 専門性の高いスキルや知識が身に付く
- スキルアップすることで収入が上がる
- 社会貢献できるためやりがいがある
施工管理は、現場でさまざまな職種のスタッフと関わるため、自然と専門性の高いスキルや知識が身に付きます。そういった知識を習得することで建設業界での市場価値が上がり、条件の良い企業に転職しやすくなるため年収も上がります。
また、施工管理はトンネルやマンションといった大規模な建設物に、リーダーのような立場で携わるため、仕事で大きなやりがいを感じられます。建造した建物が多くの人に利用されている様子を見て「社会貢献できている」とリアルに実感することもできるでしょう。
このように、施工管理には多くのやりがいや魅力があります。加えて、残業時間は働き方改革に伴い改善されていくため、施工管理はこれからさらに人気の高い職業になっていくでしょう。
まとめ
本記事では「施工管理の残業時間が多い理由」「残業時間を減らす方法」などを紹介しました。
施工管理は、その業務の多さや建設業の先入観から「残業が多い」というイメージが強いです。しかし、近年では働き方改革の推進により労働環境が改善され、非常に働きやすい労働環境になりつつあります。
また、施工管理は人材不足の影響などで未経験の求人が増えているため、これから仕事を探す人にとっては大きなチャンスと言えるでしょう。
百田 遼太郎